仏実業家のオアヨン氏、計画倒産などで容疑者認定
パリ地検は5日、実業家のミシェル・オアヨン氏が、計画倒産、会社資産乱用、詐欺、背任、資金洗浄の容疑で、予審開始通告を受けたことを明らかにした。予審は、担当予審判事が起訴の是非を決めるために行う裁判上の手続き。オアヨン氏は3日より勾留の上で取り調べを受け、5日の容疑者認定を経て、50万ユーロの保釈金の納付などを条件として釈放された。同氏は当局の監視下に置かれ、会社経営に携わることを禁止された。
オアヨン氏は63歳。ボルドー地方で商店経営から始めて、不動産業で成功を収め、持株会社FIBを通じて、フランチャイズチェーンを次々に買収し、経営規模を拡大した。困難に直面した企業を安値で買収する手法で成長を遂げ、2005年には推定資産額3億5000万ユーロで、国内の資産家トップ500入りも果たしていた。以前から、その経営手法を疑問視する声もあったが、コロナ禍を経て経営環境が厳しくなり、保有資産を次々に失った。2023年にカマイユー(アパレルチェーン)は清算、Go Sport(スポーツ用品)、グランレクレ(玩具販売)、GAPフランス(アパレルチェーン)は売却の対象となり、FIB本体も倒産した。当局は今回の捜査で、このうちカマイユー、Go Sport、GAPフランスについて、合計で5000万ユーロ程度の資金が各社から不当な会計操作により吸い上げられ、不正にこの資金が着服されたとの容疑を固めて、予審開始に踏み切った。オアヨン氏の弁護士は、容疑を全面的に否定し、それどころか、同氏は6800万ユーロに上る私財を注入してこれら企業の立て直しを図ったなどと主張している。
