CCIJF – 在仏日本商工会議所

高速道路A69建設計画:行政高裁が工事の再開を認める判決

トゥールーズ行政高等裁判所は5月28日、高速道路A69の建設工事の再開を認める決定を下した。
政府は判決を歓迎し、6月中旬にも工事を再開すると予告した。
高速道路A69は、トゥールーズからカストル市(タルヌ県)までを結ぶ53kmの区間を結んで新規に建設される。
工事は2023年に始まり、既に70%の工事が終わっている。環境派がこの建設に反対して提訴し、トゥールーズ行政地方裁判所は去る2月27日に、環境破壊を正当化する重要な公益性が計画には見当たらないとの判断を示して、政府が建設に付与した許可を取り消す判決を下したことから、工事が停止されていた。
政府はこの判決を不服として控訴し、同時に、工事の再開を求める緊急審理を請求していた。
トゥールーズ行政高裁は今回、緊急審理を経て、工事の差し止めの解除に応じた。
本件審理の判決が出るのは1年後になるものと予想され、その結果がどうなるかはわからない。
この件は政治問題に発展しており、環境派と、右派を中心とする推進派の間の対立を象徴する案件ともなっている。環境派の背後には、過激な行動に出るのも辞さない勢力があり、対する推進派の背後には、あらゆる面で規制緩和を求める風潮がある。
推進派のフォリオ上院議員は、工事停止につき、国には1日20万ユーロの費用負担(工事現場の安全確保など)が発生しているとして、工事再開は良識にかなっているなどと主張。
対する環境派弁護士のルパージュ氏(元環境相)は、本件審理の判決が出るより前に工事を進めて既成事実を作るつもりだ、と述べて、訴訟の意義が失われると問題視している。