会計検査院、ルーブル美術館の報告書を公表
会計検査院は11月6日、ルーブル美術館に関する報告書を公表した。
防犯・セキュリティを犠牲にした運営が続いていたと問題視する内容になった。
ルーブル美術館では10月19日に盗難事件が発生し、内外に大きな衝撃を与えた。
会計検査院の報告は、2018-24年の期間のルーブル美術館の運営を対象として、以前から準備が進められていたものであり、盗難事件については直接の対象となっていないが、タイミングもあってその内容が注目されていた。
報告書は、ルーブル美術館が、見栄えのする集客的活動や展示の改善、美術品の購入を優先し、安全・保安面での建物等の規格への適合化や改修を犠牲にしてきたと、厳しくこれまでの運営のあり方を批判し、その改善を勧告した。
報告書によると、期間中の支出は、「保守・規格適合化」が2700万ユーロ、「建物等の修繕」が6000万ユーロだが、その一方で、展示方法の改善等を目的とした「リフォーム」は6400万ユーロ、美術品の購入が1億500万ユーロと、力点の置き方が後者に偏っている。
報告書は特に、期間中に2754点の購入がなされたが、展示されているのはその4分の1に満たないと指摘。
入場料収入の20%を購入に充当する旨を定めた定款の改正を求めた。
ルーブル美術館は、年間の自己財源の60%程度を入場料収入(2024年に1億2500万ユーロ)で賄っており、「ルーブル美術館アブダビ」のライセンス収入もあり、予算面の基盤は安定していると会計検査院は判断。
適切な支出管理と運営のあり方を志向するべきだとした。
