下院、年金改革中断を採択
下院は11月12日、社会保障会計予算法案の審議の中で、年金改革中断に関する条項の採決を行った。賛成多数で採択された。
年金改革の中断は、ルコルニュ首相が不信任案回避で社会党からの協力を取り付けるために行った最大の譲歩だった。審議は荒れ模様となったが、賛成255、反対146にて採択された。年金改革を主導したマクロン大統領派の与党勢力は、投票を棄権することにより、採択に道を開いた。これに対して、「中断ではなく廃止」を要求する左翼政党LFI(不服従のフランス)及び共産党は反対票を投じた。年金改革の堅持を求めるという真逆の理由で、与党勢力に協力する右派「オリゾン」(フィリップ元首相が率いる)と、共和党(保守)の一部も反対票を投じた。極右RNは、「廃止を待つ間の当座の措置として」との建前を掲げて賛成票を投じた。社会党と環境派EELVは賛成した。このように、賛成と反対のいびつな配分で採択が実現した。
上院では、改革中断に反対した共和党と中道勢力が過半数を握っているため、ひとまず棄却されるのは間違いない。ルコルニュ首相がその後にどのような手段で採択を図るのかが注目される。
