無料法律相談からQ&A 「駐在員へのフランス労働法の適用」
日本からの駐在員に対してフランス労働法が適用されるかの質問がありました。
駐在員の身分が ⓵Passeport talent salarié en mission の場合と ⓶ICT salarié détachéとに分けて考えます。
⓵のsalarié en mission 場合
この場合には駐在員はフランスの会社と労働契約を締結しています。
従って、週35時間労働、年間5週間の有給休暇、産休、育休等、フランスの従業員が享受する全ての権利を享受します。
例えば、有給の繰越を認めていて、本人が有給を殆どとっていなかった場合に、子会社を退職して日本の本社へ戻る場合に多額の有給休暇補償金の支払うべき場合が起こりえます。
又、従業員が50人以上の会社の義務であるParticipation aux bénéfices 及び任意で合意により従業員全員にIntéressementとして利益配分を行う場合は、全ての従業員が対象となるので、日本からの駐在員も当然対象となります。
⓶のICT salarié détachéの場合
この場合には駐在員は本社との労働契約しかなく、本社から給与をもらいます。
しかし、フランスにおいて実際に労働を行っているので、フランスの労働法の全てではありませんが、本質的な部分は適用されます。
以下がフランス労働法の本質的な部分と解され⓶の駐在員にも適用されます。
―フランスの最低賃金
―週35時間労働
―年5週間の有給休暇及びフランスの祝日
―男女平等、差別、ハラスメントの禁止
これに反して、解雇や懲罰には派遣元の本国法が適用されます。
橋本国際法律事務所
弁護士 橋本明