CCIJF – 在仏日本商工会議所

食品・化学・薬品・化粧品:福田 正信/日本メナードフランス

新年明けましておめでとうございます。

2023年は公私ともに物価高に苦しめられた1年だったのではないでしょうか?

化粧品業界も同様に原料、資材、物流などのコスト高に悩まされた1年となりました。

フランスの化粧品市場(フランスに限らず欧州全般)は日本と同様にすでに成熟した市場となり、年間の成長率は2%程度にとどまっています。このため同業他社間での競争は激しく、高品質で効果の高い製品開発に各社は鎬を削っています。特に基礎研究においては医学レベルの研究が求められ、新たな肌の老化メカニズムを見つけ出し、それに効果のある独自の有効成分を何百、何千という原料から見つけ出すという気の遠くなるような作業を日々行っています。弊社では2003年から肌の幹細胞の研究を開始し、名古屋大学大学院医学研究科や、病床数日本一の藤田医科大学と共同研究を行い、多くの学会発表や特許出願を元に消費者に選ばれる製品開発を行っています。

高品質な製品開発に加えて、より安全で安心できる製品づくりが日本以上にフランス(欧州)では求められるようになりつつあります。製造会社にとっては厳しいルールになりますが、消費者にとっては歓迎するべきことです。例えば、香水や化粧品に使われる香料に対して、化学物質・植物由来に関わらず人口の1~3%がアレルギー症状を起こすと考えられています。消費者健康保護の観点から、現状ではアレルギー症状を起こす可能性のある24種の指定された香料を外装ケースに表示することが義務付けられていますが、これが約80種に増える見込みです。この表示変更は、消費者が安心して使うことができる商品を選ぶ際の1つの判断基準となり、その使用については各社共に今後検討が必要になるでしょう。

環境への配慮についても議論が進んでいます。2023年1月からファストフード店での使い捨て容器やコップなどの使用が禁止されたことは記憶に新しいところですが、化粧品業界ではスペア対応や詰替え対応の議論が活発になってきています。

世界にはたくさんの社会問題があり、先を見通すことが大変難しくなっています。このようなご時世だからこそ、化粧品を通して心の豊かさを一人でも多くの人にお届けできればと思い、本年も全力で取り組んでいく所存です。

2024年も在フランス商工会議所会員各社の益々のご繁栄と、会員各位およびそのご家族のご健康、ご多幸を心よりお祈り申し上げます。

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