CCIJF – 在仏日本商工会議所

下院が「中国推し」報告書を採択、左翼政党LFIが背後に

下院の欧州問題委員会は先に、中国に関する報告書を採択して公表した。
中国を礼賛するとも見える内容の報告書になったことが問題視されている。
報告書は、左翼政党「不服従のフランス(LFI)」のシキルー議員がまとめた。
採択時には、委員会には8人の議員が出席していたのみで、LFI所属が4人、マクロン大統領派が3人、極右RNが1人という構成だった。
マクロン大統領派の議員らは、報告書不採択という決定が例外的であり、乱発すると悪しき前例になるという判断から、採択阻止を見合わせ、報告書の採択に応じた。
報告書は、欧州連合(EU)が米国の政策に横並びの姿勢をとり、中国を必要以上に脅威として捉えていると主張し、フランス政府に対して、中国とは共有している利益も多く、EUとは一線を画して協力の道を探るべきだと勧告している。
報告書はさらに、台湾やフィリピンとの関係にうかがわれる中国の拡大政策についてはほとんど触れず、また、イノベーション推進に向けて政府が垂直型の支持体制を確立していると賞賛している。
LFIを率いるメランション氏は、フランスの伝統の一部をなしている素朴な反米主義を発想の原点としており、米国の敵なら味方であると安易に位置づける癖がある。
今回の報告書もメランション氏のビジョンをかなり忠実に反映する内容であり、収録された政治家のコメントもメランション氏のもののみとなっている。
シキルー議員(メランション氏の側近でもある)はこれについて、ラファラン元首相(やはり親中派として知られる)など、他の政治家らはいずれも聴聞を拒否したため、引用できなかったと説明している。
いずれにせよ、中国政府がこの報告書を、フランスを揺さぶる切り口があることを示すものとみて歓迎し、政治的に利用しようとするのは間違いない。