サノフィ、アルツハイマー治療薬を開発の米社を完全買収へ
仏製薬大手サノフィは22日、昨年に出資した米Vigil Neuroscienceを完全買収すると発表した。
評価額を4億7000万ユーロに設定して買収する。
Vigil Neuroscienceは、アルツハイマー型認知症の治療薬候補である「VG-3927」の開発を進めている。
この物質は、小膠細胞(ミクログリア)と呼ばれる中枢神経中の細胞に働きかけるもので、小膠細胞が免疫細胞として担っていると考えられる炎症の修復などの効果を適所で活性化させることにより、アルツハイマー型認知症の症状改善を実現することを目指している。
開発はまだ初期段階にあり、第II相以降の治験が今後の課題となる。
アルツハイマー型認知症の患者数は世界で3500万人に上るとみられている。
2033年時点で治療薬の市場規模は190億ドル(医薬品消費の多い8ヵ国)に達する可能性がある。
現在、治療薬として認可されているのは、エーザイのレケンビとイーライリリーのドナネマブ(製品名:Kisunla)のみだが、VG-3927は仕組みが異なることから、商品化に成功すれば、投薬対象の患者の拡大を含めた新たな展望も期待できる。
サノフィは、大衆薬事業Opellaを分離・売却し、100億ユーロの収入を確保したばかりで、今後は専門性の高い資産の買収を通じて事業の強化を進める方針。
