欧州委、フランスの「過剰な財政赤字」手続きを中断
欧州委員会は4日、欧州連合(EU)加盟各国の財政運営等に関する見解を公表した。
フランスについては、財政健全化に向けた公約の達成状況が良好であると判断し、「過剰な財政赤字」に関する制裁手続きを1年間中断することを決めた。
欧州委はこの中で、フランスの2025年の歳出純増幅が0.9%にとどまる見通しとして、欧州委勧告の0.8%をほぼ達成できると肯定的に評価した。
欧州委はその一方で、フランスの政策運営に対して一連の勧告を提示。
競争力向上においては行政手続きの複雑さがブレーキになっているとし、研究税額控除(CIR)については、費用高で効率性が低いと問題視した。
温室効果ガス排出量の削減目標の達成についても、フランスの対応を不十分と判断。
教育をはじめとする若年層向け政策の不備も指摘した。
他方、バイルー内閣は2026年予算法案の準備に向けて、400億ユーロの節減措置の策定に取り組んでいるが、その具体的な展望はまだ明らかになっていない。
財政赤字の対GDP比を4.6%まで圧縮するとの目標の実現が危ぶまれている。
そうした中で、2026年予算法案を2025年予算法並みに据え置くことで立て直しを進めるという案が、政府部内からも浮上している。
歳出をゼロ成長とし、所得税の課税が始まる所得最低限や、各種社会給付の支給額も据え置くという形で、実質的な増税・支給額削減を一律に実行するという構想で、これは、すべての人に負担を求めるとしたバイルー首相の考えにも合致する。予算法案の骨子は7月中に公表される予定。
