ムーディーズ、仏長期債務格付けを据え置き:見通しは「ネガティブ」
格付け会社ムーディーズは10月24日夜、フランスの長期債務格付けを「Aa3」に据え置くと発表した。
見通しは「ネガティブ」として、政局混迷が続くなら格下げに踏み切る可能性が高いことを示唆した。
ムーディーズの「Aa3」は上から4段階目の格付けとなっている。
同業のフィッチは9月12日に、S&Pは10月17日に、仏長期債務の格付けをいずれも「Aプラス」(上から5段階目)に引き下げているが、ムーディーズは格付けを維持した。
ただ、サプライズで格下げを前倒しで発表したS&Pと同様、ムーディーズも、先に政府が社会党などの要求に譲歩する形で認めた年金改革の中断による財務の悪化のリスクを明確に指摘。
最初のうちこそ影響は大きくないが、定年年齢の引き上げ凍結は数年後には顕著な規模の影響を及ぼすとして、財政運営の先行きに懸念を示した。
ムーディーズはその一方で、フランスの銀行部門が堅牢であり、家計と企業の財務状況も堅固であり、政府機関のパフォーマンスも高く、経済の多様性も高いことをフランス経済の力として挙げ、格下げ展望の理由が政治的不安定にあることを明確に示した。
