サルコジ元大統領が保釈に
パリ高裁は11月10日、拘置中のサルコジ元大統領の保釈請求を審理した。検察側が提案した一連の制限が伴う保釈の決定を下した。
元大統領は同日午後にパリ16区ビラ・モンモランシーにある自宅に戻った。
サルコジ元大統領は、2007年の大統領選挙に向けて、リビアのカダフィ体制から不正資金の獲得を画策した容疑で起訴され、「犯罪共謀」の罪でパリ地裁の第1審判決で禁固5年の有罪判決を受けた。
裁判所は控訴中の拘置も決定し、元大統領は10月21日にパリのサンテ刑務所に収容された。
最短で保釈請求が行われ、結局、拘置は21日間で終了した。
10日に行われた審理では、証拠隠滅、証人への圧力、被告人間の協議、容疑者の保護、出頭義務を履行する保証、再犯のリスクという、拘置を正当化する理由の妥当性について検討がなされた。
裁判所はその検討の中で、元大統領の所得状況について調べたが、2023年申告では給与所得63万8000ユーロ、年金所得15万3000ユーロ、不動産所得130万ユーロ、事業所得(非販売事業)230万ユーロとなっていた。
裁判所は、元大統領が、本件とはほかに2件の事件で有罪判決を受けている(検察官から捜査情報を入手しようとした「ビスミュート」事件では上告を経て有罪が確定、大統領選挙キャンペーンにおける会計不正の「ビグマリオン」事件では有罪判決を経て上訴中)こと、さらに、予審開始決定を受けている別の事件(リビア不正資金事件の関係者に証言を翻させようと圧力をかけた疑いの事件)があることを踏まえて、元大統領という立場で様々な人脈を動かすリスクがあることを考慮し、幅広い接触禁止を命じて保釈を認めた。
具体的には、通常の禁止対象に加えて、拘置中に接見に訪れたダルマナン法相とその官房スタッフを含む法務省関係者などを禁止対象に加えた。
出国禁止措置もあわせて命じた。
サルコジ元大統領は、自分が「カダフィ大佐に資金を求めるなどいうばかげた考えを持ったことは決してない」ことを控訴審が認めることを望む、とコメント。
この表現は、大統領が、側近らがリビア資金を求めて動いていたとしても、それは自分とは関係がないと主張するものと受け取られ、事実関係が否定されればよし、そうでなくとも自分は潔白という元大統領の法廷戦略を要約したものと考えることができる。
