ブラントの会社清算が決定
去る10月初旬に会社更生法の適用下に入ったブラント(大型家電)について、ナンテール商事裁判所は12月11日に会社清算を決定した。
同社については、従業員組合組織(SCOP)による買収提案がなされていたが、裁判所は事業の立て直しの展望が十分ではないと判断し、これを採用せず、会社清算を決定した。
ブラントは創業100年の老舗ブランドで、ほかにVedette、Sauter、De Dietrichのブランド(調理器など)を展開している。
現在の従業員数は700人で、バンドーム市(ロワールエシェール県)とオルレアン市近郊(ロワレ県)に2工場を保有、パリ首都圏にアフターサービス拠点を有する。
SCOPによる買収提案は従業員のうち半数を維持するという内容で、国や地元自治体(工場のあるサントル・バルドロワール地域圏、パリ首都圏など)が合計で2000万ユーロの支援を約束したが、民間銀行は協力に消極的だったといわれる。
ブラントは、親会社だったスペインのファゴールによる閉鎖騒ぎを経て、2014年に、フランス政府の後押しもあって、アルジェリアの民間企業セビタルの傘下に入り、事業を継続していた。
それから10年を経て、フランス経済が逆風を迎える中で廃業に追い込まれた。
改めて国内生産の困難な状況を象徴する事案となった。
