CCIJF – 在仏日本商工会議所

機械・自動車・建設 : 島嵜 智之/SUZUKI FRANCE S.A.S.

フランス乗用車市場の見通しについて

新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

フランスの乗用車市場はかつて年250万台前後で推移、リーマンショック後低迷期には3割減の180万台程度まで落ち込みましたが、その後は徐々に上向き、2019年には221万台まで回復してきていました。

日本の乗用車(登録車+軽自動車)の市場規模がおよそ年400~500万台ですので、フランスの乗用車市場はほぼその半分のサイズと言う事が出来ます。 また、1000人あたりの乗用車普及率(2018年時点)で見ると、フランス491台、日本488台と、両者は似通った環境にあります。

所が、新型コロナ禍の影響で2020年フランス乗用車市場は165万台という歴史的低レベルへ急落。2021年は前半こそコロナ禍影響が薄れ上昇に転じていましたが、後半は半導体不足による車両供給の問題が顕在化して減速し、通年では2020年より微増の166万台という結果に終わりました。

こうした中、EU CO2排出規制などの後押しで電動車の比率は拡大してきており、2021年通年では、電気自動車が10%、プラグインハイブリッド車が9%、ハイブリッド車が17%と、合わせて市場の3分の1以上を占めるに至っています。 その一方、かつて乗用車市場の7割を占める花形であったディーゼル車は、市場の2割程度まで縮小しました。

今後も、カーボンニュートラルを目指すEUのCO2排出規制強化、2035年化石燃料車販売禁止方針に加え、フランス独自でも2030年パリほか都市圏で化石燃料車流入禁止方針、2040年全土で化石燃料車販売禁止方針など、電気自動車普及を後押しする政策が目白押しで、各メーカーが電気自動車の品揃えを充実させていく事も相まって、電動車、特に電気自動車の販売比率は更に加速していくものと見込まれます。

但し、その一方で、充電インフラ整備の遅れ、電源確保の問題、自動車産業の雇用問題、政府販売補助金の漸減方針など、普及の足を引っ張る要素も見られ、果たして喧伝されている通りのスピードで電気自動車の普及が進んでいくかどうか、不透明な部分もあります。

本年2022年も、電動化の流れが進み市場での比率を増していく事は間違いありませんが、半導体不足の問題は長く尾を曳いて、多くのメーカーが車両供給に問題を抱え続ける公算が大きく、乗用車の市場規模は、およそ2020年、2021年と大きく変わらないレベルに留まるのではないかと懸念されています。

最後に、皆様の移動を支える自動車産業に携わる者として、一日も早く新型コロナ禍が終息し、以前の様に人々が移動の自由を享受できるような、平和で安全な世界に戻ります事を、お祈り申し上げます。