電気・電子 他:山下 和則/タムロン・フランス
2023年の新春を迎えるに当たり、所感の一端を申し述べ、新年のご挨拶とさせて頂きます。
昨年を振り返りますと、年初のオミクロン株による行動制限は、3月に衛生パス解除、8月1日の衛生パス撤廃、マスク着用義務解除に続き、仏渡航者に対するコロナに関わる入国規制も全廃。
コロナ禍で急落した仏経済も回復基調も、回復度合いが異なるK字型回復の状況が続きました。
ポストコロナに於ける世界の産業再稼働、景気の持ち直しによる需要回復が続き、原料や労働者不足等により、先進国と新興国双方で物価が上昇、国際商品市況は総じて上昇傾向にありました。
2月24日には、ロシアのウクライナ侵攻。両国の輸出減少、経済制裁、対抗策にて輸出品目の供給減で価格は大幅上昇、3月上旬に頂点に達し、戦況が長期化する中、国際商品市況の高騰が加わり、物価上昇が一段と進行。従前の資源高、物流需給の逼迫、半導体不足に加えて、新たな物流混乱を引き起こし、中国の都市封鎖による不透明感も強まる中、急激な円安も見られました。
この様な情勢のもと、現在は、持続可能な経済社会を構築する歴史的転換点と考えられています。
本年度の業界見通しとして、産業パラダイムシフトとなる様なスマート・デジタル革命の進行や、メーカーが、消費者目線に合わせるフランス政府主導の環境配慮について述べさせて頂きます。
ビッグデータとしてのナビゲーションシステム、地球観測システムで提供されるサービスでは、農業、都市交通、環境、地上インフラ監視等、デジタル変革で業界の市場構造に変化をもたらし、生産者や役務提供者と最終消費者との関係性も構造的、質的変化が顕在してくると思われます。
一例として、AIによるスマートモビリティでは、交通移動を効率良くする自動運転技術として人々の移動や交通を、より安全で効率良く、大気汚染や交通渋滞をも問題解決していくでしょう。
フランスでは昨年9月1日から、自動運転レベル3による公道走行を一定条件下で解禁しており、高速道路で時速60キロまで、渋滞時に自動車線維持装置による自動運転が可能となっています。
環境配慮に関しましては、昨年正月から、当業界もトリマン・マークと分別廃棄に関する情報の貼付義務が施行され、さらには鉱物油の包装材や印刷物への使用を禁止する規定が制定される等、フランス政府主導による消費者目線での環境配慮は、メーカーに必須不可欠となると思われます。
産業パラダイムシフトとして構造的、質的変化をもたらす様な、持続可能な経済社会を構築する転換点である今、デジタル革命や環境配慮など、変化を好機と捉えること述べさせて頂きました。
結びとしまして、本年が皆様にとって、大きな飛躍の年となることを、心より祈念申し上げます。
令和五年 元旦
タムロン・フランス
山下和則