下川 眞樹太 駐フランス日本国特命全権大使

新年明けましておめでとうございます。昨年12月に、駐フランス日本国特命全権大使として当地に着任いたしました下川 眞樹太(しもかわ まきた)と申します。
令和5年(2023年)の年頭に当たり、皆様にご挨拶申し上げます。
昨年も、新型コロナウイルス感染症流行の影響で多くの制約のある環境の中、貴商工会議所からは様々な局面で多くのご協力・ご理解をいただきました。この場をお借りして、まずはお礼申し上げます。
昨年10月11日以降、外国人を含む全ての日本入国者について、原則として、入国時検査を実施せず、入国後の自宅又は宿泊施設での待機、待機期間中のフォローアップ、公共交通機関不使用等を求めないこととなりました。ビジネスの往来が本格的に再開されたことを喜ばしく思います。大使館としてもこうした契機を生かし、日仏両国の政治・経済・文化の幅広い分野における協力関係の発展に尽力していく所存です。
世界の情勢はかつてないほど複雑に変容しています。新型コロナウイルス感染症の流行は世界を悩ませてきました。間もなく1年経とうとするロシアのウクライナ侵攻は国際秩序を脅かし続けています。これに起因する世界的なエネルギーと食糧の危機、さらには異常気象を伴う気候変動問題が深刻化しています。これらの課題に対処するには、政治的意思と国際協力が不可欠であることは言うまでもありません。本年のG7サミットの議長国として、日本はその責任を十分に認識しています。
こうした変容する国際情勢の中でも、日仏両国はかつてないほど緊密な協力関係を維持しております。そしてこれを支えるのが、在仏日本企業の皆様の活発なフランスへの投資であると実感しております。ビジネス・フランスの2021年年次報告書によると、670社以上の日本企業がフランスに進出し、10万3千人以上の雇用を維持・創出しており、累計直接投資額はアジア最大の109億ユーロ、雇用創出においてもアジア諸国の中では一番となっています。こうした日本からの対仏投資の増大は、まさに日仏間の信頼関係が深化していることを証するものです。
毎年恒例となった日本企業向けの対仏投資セミナー「クラブ・ジャポン」の場は、日本企業の皆様が実際にフランスでビジネスを行う上で日頃問題と感じておられる事項をフランス側に伝える貴重な機会でもあると認識しております。昨年も貴商工会議所から「フランスにおけるビジネス環境整備に係る要望」について発表いただきましたが、こうした皆様からの具体的なご意見やご要望こそが日仏経済関係、そして信頼関係強化の源であり、大使館としても仏政府やビジネス・フランスに対してしっかりとフォローアップしてまいります。
最後に、2025年の大阪・関西万博に向けた準備が進んでおりますが、当地では昨年9月から貴商工会議所会頭にエグゼクティブ・アドバイザーに就任いただきました。ポスト・コロナの先を見据え、次の世代のいのちのための強靱で持続可能な社会の実現を目指し、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとしつつ、3つのLives、「Saving Lives いのちを救う」、「Empowering Lives いのちに力を与える」、「Connecting Lives いのちをつなぐ」をサブテーマとして、魅力溢れる万博を構築していきます。今後とも貴商工会議所と会員の皆様のご協力・ご理解が賜れれば幸いです。
貴会議所会員企業をはじめ、当地でビジネスを営む皆様のご健勝と益々のご発展を祈念し、皆様のお役に立てるよう、私をはじめ、大使館館員一同、引き続き尽力する所存であることをお伝えして、新年のご挨拶といたします。
本年も、何とぞよろしくお願いいたします。
駐フランス日本国特命全権大使
下川 眞樹太