今週のフランス

フランスから見た最新ニュース。

ksm 提供

仏首相、6月2日からの外出制限のほぼ全面解除を発表

 フィリップ仏首相は5月28日、6月2日から外出制限をほぼ全面的に解除すると発表した。首相は、新型コロナ感染症の感染拡大がヴァルドワーズ県やマヨット海外県を除いてはほぼ全土でコントロールの下にあると言明、衛生状態は予想以上に改善したとして満足の意を明らかにすると共に、6月2日からは「自由が再びルールとなり、制限が例外となる」と約束した。外出制限のほぼ全面解除に従い、小中高などの教育施設の再開も加速される。バーやレストランも、新型コロナ感染症が下火になった地域で営業を再開するが、警戒がまだ必要とされるイルドフランス地域圏においては、テラスだけの屋外営業だけとなる。ただし可能な場合にはテレワークが奨励されることに変わりはなく、また、公共の場での10人以上の集会は依然として禁止される。首相は、今後仏が歴史的な景気後退に直面せねばならず、新型コロナ感染症の経済・社会的インパクトとの闘いが必要となるとの認識を示し、そのためには教育施設の再開が必要だと言明した。小学校と中学校は、62日から仏全域で変則的な形ながら再開されるが、高校は、感染が下火になった地域のみで段階的に再開される。また、バーやレストランも営業を再開するが、テーブル当たりの客数が最大10人に制限される外、テーブル間の距離1メートルを維持せねばならないとされる。加えて首相は、自宅から100キロメートル以内という移動制限を解除すると言明したが、警戒を怠らないよう呼びかけた。他国との国境再開に関しては、EU(欧州連合)内の国境は、状況が許せば615日に解除される。解除に際しては、入国者に対する2週間の隔離措置は課されない。スポーツ施設に関しては、感染が下火になった地域では62日から、警戒がまだ必要な地域では622日から再開される。マスク着用は、一部地域で市町村により義務付け可能。62に再開される美術館や歴史的モニュメントにおいては義務付けられる。大規模競技場や競馬場、ディスコなどの閉鎖は継続されるが、622日に再検討の対象となる。

 

仏個人消費、外出制限解除後に予想以上に回復

フランスでは、5月11日の外出制限解除後に個人消費がどのような回復を見せるか注目されている。一部のアナリストからは、2ヵ月に渡った外出制限に嫌気がさした国民が「リベンジショッピング」にはしるのではないかとの見方も出されており、解除後の最初の統計によると、「リベンジショッピング」を語るには時期尚早だが、個人消費は予想より早く回復しているとの結果が出た。先に経営破綻したラアール(アパレル)の親会社のビバルトでは、過去2週間の売上が2019年の同時期のそれを30%上回っていたことを認めている。また、メガネ販売店の売上は100%増にも達している。DIY製品チェーンでも、顧客が大挙して押しかけたと証言する。文化関連・電化製品チェーンであるフナック・ダルティでは詳細は明らかにしていないが、5月11日から18日にかけて購買した顧客数が80万人に達したと明らかにした。情報処理機器や事務機器が、テレワーク普及を受けて、依然として好調を続けているという。キックスケーターや電動アシスト自転車なども好調で、エアコン販売も伸びている。アパレルチェーン大手も、レディース及び子供服の売れ行きが好調で、全体的には売上は前年並みという。ただし、ブランドと地域によってばらつきが大きい。
ある業界関係者は、匿名を条件に、主要業界団体の中には企業にとって有利な一時帰休制度の維持と政府からの支援の取り付けを狙って外出制限解除後の売上を少なく見せているところもあるとの見方を示しており、個人消費の回復が統計上の数字を上回っている可能性もある。

INSEE、4-6月期の仏成長率をマイナス20%と予想

INSEE(仏統計機関)によると、仏経済は、外出制限が解除された5月11日以来顕著に回復しているが、経済活動は5月には約25%、6月には約14%、通常を下回る水準に留まる見込みだという。従ってINSEEでは、4-6月期の経済成長率はマイナス20%程度となり、1948年以来で最大の後退となると見込んでいる。7月に完全に通常に戻れば、2020年の年間成長率はマイナス8%程度にとどまり仏経済省の見込み通りとなるが、INSEEでは、新型コロナ危機の影響は7-9月期にも続くと見ており、通年での危機の影響は政府の見通しを上回るのは確実だと指摘している。
 INSEEによると仏産業の稼働率は、外出制限解除以来、通常を21%下回る水準にまで回復した。5月初めには、この数字は33%に達していた。また景況感も、5月には6ポイント上昇したが、依然として記録的低水準にある。一方、個人消費は回復が目覚ましく、外出制限解除後の1週間では、危機前を6%下回る水準にまで回復した。5月初めには32%下回っていた。ただし、このような回復は一部は、外出制限の下で先送りされていた消費によるものであり、今後の消費の傾向を占うには時期尚早である。

仏カマイユー、会社更生法適用を申請

仏アパレル・チェーンのカマイユーは5月27日、リール都市圏商事裁判所の保護の下に置かれた。同社には、会社更生法が適用されると見られる。同社(従業員数4714人)は、世界で832軒の店舗を展開、うち仏で634軒(従業員数3844人)を展開している。同社は、新型コロナ危機を受け、政府保証付き融資を申請したが銀行に拒否され、資金難に陥っていた。カマイユーは、進出先各国の外出制限により、800店舗強の2ヶ月間にわたる閉鎖に追いこまれ、売上も95%減少した。カマイユーによる政府保証付き融資の申請には、仏政府、オードフランス地域圏に加え、同社の主要株主も支援を与えていた。この件に関し、ルメール仏経済相は26日、仏ラジオ局に出演した際に、数週間前からカマイユー救済に向け、買収希望者探しに努力していると言明していた。会社更生法の下に置かれることで、カマイユーには、6ヶ月間の観察期間が与えられ、その間に、再建計画か、売却計画が検討されることになると見られる。
 なおフランスでは、ラアールやナフナフ、あるいはアリネアなどアパレル部門での経営破綻が相次いでいる。

新型コロナ危機:仏政府、持続的影響を受ける企業への長期支援を準備か

仏政府は、仏航空エールフランスや自動車産業など、新型コロナ危機に直撃された個別の企業や業界向けの支援措置を相次いで打ち出しているが、危機により持続的に減産を強いられる企業などを対象とした新たな長期的支援措置も検討している模様。仏レゼコー紙によると、雇用保全や人員養成に関する企業側の約束と引き換えに、公的支援を与える案が現在検討されている。また政府は、危機を受けて大規模に利用された一時帰休制度の利用条件が今後段階的に厳格化されることを見越して、新制度を一時帰休の代替策とすることを目指している。
一時帰休制度は、危機の影響を緩和することに大きく貢献したが、政府と失業保険会計が対象となった従業員の賃金の一部を保障していることから、金銭的な負担が大きすぎ、長期的に継続することは不可能な上、従業員の通常労働への復帰を妨げるなどの問題点も指摘されている

新型コロナ危機、デジタル課税に向けた国際的合意成立をさらに困難に

新型コロナ危機によりデジタル課税に向けた国際的合意成立がさらに困難となっている。米国の態度が揺れ動くことに加え、危機により交渉に向けた会合の開催が困難となっていることから、当初は7月に予定された合意形成という目標は既に放棄された。また、10月に予定される新たな合意は、全面的なものではなく、部分的なものに留まる見通しとなっている。交渉の舞台となっているOECD(経済協力開発機構)のサンタマン税制政策センター所長は、最近のビデオ会議において、「交渉がどのように進むか様子を見ているが、合意が段階的なものとなる可能性は捨てられない」と述べ、交渉の一部が2021年に先送りにされる可能性を示唆した。
デジタル課税に関しては、デジタル・コンテンツ・サービスが消費される国々の比重を高めることを目的とした利益配分ルールの見直しと最低課税額の設定が柱となるとされるが、米政府は、新たなルールをオプションとすることを求めている。米政府の提案には他の国々が反発している。また、米政府と中国政府は、新ルールがエンドユーザーを顧客とするすべての企業に適用されるべきという立場をとるが、一部諸国はルール適用をデジタル産業に限定するよう主張しており、交渉は難航すると見られる。一方、OECDは、売上を課税標準とした各国独自の課税が相次ぐことを懸念している。OECDによると、40-50カ国が、売上を課税標準とした課税に乗り出す用意がある。

仏政府、6月1日から一時帰休制度を縮小へ

仏政府は、一時帰休制度における政府の負担分を6月1日から引き下げることを決定した。一時帰休制度は、給与が法定最低賃金(SMIC)の4.5倍までの労働者を対象とし、政府が休業分の給与を額面の70%補償し、対象者は手取りの84%の収入を確保できるというもので、新型コロナ危機を受けて利用拡大が決定されていた。同制度の費用は、政府と失業保険会計が全面的に負担しているが、外出制限が解除されたことから、政府は、一時帰休制度の利用に制限を加え、通常業務への復帰を促す方向で検討を続けていた。今後も、政府と失業保険会計は同制度の費用を全面的に負担するが、従業員の収入は額面の60%へと引き下げられる。ただし、現在でも営業が禁止されている部門(バーやレストランなど)に関しては、現在の措置が継続される。
 一時帰休制度の利用は、新型コロナ危機を受け大規模なものとなっており、対象者数は860万人に達し、従業員1人当たり2.8週分の賃金が政府と失業保険会計が負担している計算となっている。これは、仏の民間部門の賃金の約3分の1に相当する。
 

2019年の仏デジタル課税額、3億5000万ユーロに

ルメール仏経済相は5月25日、仏政府が独自に導入したデジタル課税額が2019年に3億5000万ユーロに達したと発表した。経済相は、この結果を無視できないものだとコメントした。ただし、この額は、当初の見込みの4億-5億ユーロを下回るもの。仏政府が導入したデジタル課税は、大手インターネット・プラットフォームの仏での売上を課税標準としたもので、インターネット・プラットフォームは、仏政府の要求に応じて、仏での売上を算出せねばならなかった上、対象となるプラットフォームに関しても、明確でなかった場合もあった。仏政府によると、最終的には、40社程度が課税対象となった模様。
デジタル課税問題は、数ヶ月に渡って、米仏関係の緊張を招き、米は、仏のデジタル課税導入に対抗して、仏製品に対する追加関税を導入すると示唆した。これに対し、仏政府は、1月22日になって、OECD(経済協力開発機構)レベルでの合意成立を待つとし、2020年分のデジタル課税の前払い金の徴収を12月まで停止すると明らかにした。仏政府からの譲歩を受け、米側も仏製品への追加関税導入を12月まで延期することを受け入れ、OECDレベルでの協議開始の目処が付いた。しかしながら、新型コロナ危機もあり、協議は難航している。

レストラン経営者、保険会社に逸失利益支払いを求める裁判で勝訴

パリ商事裁判所は5月22日、仏保険大手アクサ IARD フランスに対し、パリでレストラン4軒を経営するステファン・マニゴル氏に、同氏が経営するレストラン1軒の新型コロナ危機による逸失利益に関する保険金を支払うよう急速審理において命じた。
マニゴル氏のレストランは、314日から客の受け入れを停止するよう命じた仏保健省の省令(アレテ)を受けて一時閉鎖を余儀なくされたが、アクサは、問題の省令はレストランの閉鎖を命じたものではまったくなく、マニゴル氏のレストランの一時閉鎖はマニゴル氏の自発的決定によるものだと主張していた。これに対し、裁判所はまず、自らが裁判管轄権を持つ上、問題が急速審理に値するとの判断を示した。アクサ側は、この2点に関し異議を唱えていた。加えて、裁判所は、仏保健省の省令は「行政による閉鎖命令」だと認め、マニゴル氏の自発的決定だとするアクサ側の主張を退けた。
これらの点を踏まえ、裁判所は、315日から61日までのマニゴル氏の逸失利益を算定するための専門家を指名すると共に、アクサに対し、マニゴル氏45000ユーロの一時金を支払うよう命じた。
 裁判所の判決に対し、アクサは、逸失利益に関するマニゴル氏との契約の条項に関する見解の相違は残っているとして、上訴する意向を明らかにした。

仏保健相、「クロロキン」の処方方法見直しを専門家に諮問

オリビエ・ベラン仏保健相は5月23日、ツイッター上で、抗マラリア薬「クロロキン」の新型コロナウイルス感染症患者への処方に関する例外規定の見直しを48時間内に行うよう、公衆衛生高等評議会に諮問したと明らかにした。「クロロキン」に関しては、新型コロナウイルス感染症に効果があるか否かに関して論争が発生したが、先週には、中国とフランスでの研究が発表され、重症化や死亡のリスクを軽減する効果はほとんどないとの結果が出ていた。これに加え、英科学専門誌「ランセット」も5月22日、世界中の671軒の病院での9万6000人の患者を対象とした研究を発表したが、それによると、「クロロキン」の効果は認められないばかりか、致死率が高くなると結果が出た。「クロロキン」が様々な方法で投与された患者1万5000人に関しては、致死率は16.4%と23.8%の間で、投与を受けなかった患者の9.3%を大きく上回ったという。

バックナンバー

kaiin260 100

会員用ログイン

サイト内検索