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仏ナバル・グループ、伊フィンカンティエリと合弁設立で合意

軍艦建造の仏ナバル・グループ(旧DCNS)とイタリア同業フィンカンティエリは14日、合弁会社設立に関する基本合意に調印した。フリゲート艦及びコルベット艦の開発で協力する。

両社は当初、2017年9月に仏伊両国が結んだ合意に基づき、相互の資本参加を含む本格的な接近を図る計画だった。その後、イタリアの政権交代を経て仏伊政府の間の緊張が高まったこともあり、より控えめな協業計画の推進に落ち着いた。合弁会社の会長にはフィンカンティエリのボノCEOが就任、CEOにはナバル・グループからクロード・サントファンティ氏が就任する。本社はイタリアのジェノバに置き、エンジニアリング部門はフランスのオリウール市(バール県)に置かれる。具体的な事業内容は今後に結ばれる政府間合意で決定されるが、手始めに、仏伊共同の開発計画ホライゾンを通じて開発された駆逐艦を後継する改良バージョンの開発が予定されている。共同開発によりコストを削減し、輸出市場の開拓により国際競争に太刀打ちできるだけの十分な事業規模を確保することを目指す。

 

パリ航空ショーが開幕

パリ航空ショーが17日、パリ北郊ルブルジェ空港で開幕する。23日まで開催される。20日までは報道者向け公開と商談専門で、一般公開は21日から23日までの3日間となる。出展者は2453、26ヵ国が参加する。期間中は33万人の来場を見込む。パリ航空ショーは隔年開催、航空宇宙産業の主要イベントだが、今年は航空機業界が困難に直面する中での開催となった。足元の燃料価格上昇を受けて需要家の航空会社は慎重姿勢を強めており、大手2社はいずれも、年頭から5月末までに受注残が後退(ボーイングが125機減、エアバスが57機減)している。ただし、状況は737MAX問題を抱えるボーイングの方が厳しく、エアバスはナローボディ機で航続距離最大のA321XLR(220人乗り)の初契約を発表するなどして、敵失を追い風に巻き返しを図る構えという。

これとは別に、エアバス・グループは軍用輸送機A400Mの契約見直しを巡り、発注7ヵ国が作る契約主体(ドイツ、フランス、英国、スペイン、トルコ、ベルギー、ルクセンブルクが参加)との間で基本合意に達した。A400Mについては、納入の遅れなどに絡んでエアバスに大幅な損失が出ており、去る2月にも4億3600万ユーロの引当金を計上した。契約の見直しでは、引き渡しの終了を2030年とする新たな日程を設定すると共に、遅れが出た場合に、制裁金ではなく、役務等の提供でオフセットする条項が盛り込まれた。エアバスはこれにより、新たな損失を計上するのを食い止めることができる。

 

クレディアグリコル銀行、指紋認証デビットカードを試験導入

クレディアグリコル銀行は13日、指紋認証のデビットカードの試験導入を開始すると発表した。非接触型決済の際の本人確認の手段として指紋認証を利用する。利用者はカード上のセンサに指紋を読み取らせることで、非接触型決済を完了できる。試験はクレディアグリコルのトゥール地方及びポワティエ地方の地方金庫の顧客から希望者200人を募って実施される。6ヵ月間の試験運用を経て、2020年に全社顧客を対象に提供を開始する予定。指紋認証カードのサービスには、G+Dモバイルセキュリティ、NXPセミコンダクターズ、マスターカードが協力する。

指紋認証カードの試験導入は、競合ソシエテジェネラルが今年に入り100人程度を対象に開始している。BNPパリバも9月に、200人を対象に試験導入を行う予定という。各行とも、フィンテックの新規参入組による攻勢を受けて、決済データ集積の入り口となるカードの防衛を死活問題と見定めており、費用を回収できなくても付加価値の向上を図る構えを見せている。口座アグリゲーションと送金・引き落としを組み合わせれば、ネオバンクが自社発行のカードを用いて競合銀行の口座から支払いを実行することも可能になり、迎え撃つ銀行各社はデータの流れを吸い取られることを特に警戒している。

 

ベルベ法相、「13才以下は責任能力なし」の刑法改革を予告

ベルベ法相は13日、未成年者への刑法適用に関する制度改正に関する構想を明らかにした。法相はこの中で、13才以下の未成年者について、責任能力不在を原則とすることを提案。これに保守系の政治家らは強く反発している。現在、13才以下の未成年者の責任能力については、裁判官が案件ごとに検討し、裁量により決めることになっている。ベルベ法相は、国連の子どもの権利条約に即して、責任能力の下限を設定することを提案。13才以下については責任能力がないと推定することを原則とし、裁判官が子どもの責任能力を認める場合には、理由を挙げて正当化することを義務付ける形とすることを提案した。この案について、保守野党「共和党」所属の政治家らは、未成年者の犯罪が暴力化する中で、犯罪行為に免罪符を与えることにほかならないなどとして批判している。

 

フィリップ首相の施政方針演説、改革継続に意欲示す

フィリップ首相は12日、下院で施政方針演説を行った。今後の政局運営をマクロン政権の「第2幕」と位置付けて、改革の継続に向けた遺志を確認。雇用や治安と同等の重要課題として環境問題に取り組む方針を示した。下院は賛成363、反対163、棄権47でフィリップ内閣に信任を与えたが、2017年の内閣発足時の信任投票と比べて、反対票が増えた(2017年には67票)のが目立った。

首相は、欧州議会選挙での環境派の躍進を踏まえて、環境問題を重視する方針を表明。モビリティ法案やエネルギー関連法案を今夏までに成立させ、循環経済法案の国会審議を夏休み明けに開始すると予告した。その枠で、プラスチック100%リサイクルの実現などの取り組みに言及したが、いずれも予告済みの措置であり、新たな発表はなかった。

雇用関連では、失業保険改革法案を近く閣議決定すると予告。短期雇用契約の利用が多い使用者に社会保険料の割り増しを適用する(少ない使用者には割引を適用)新制度の導入、高額の給与所得者に対する失業手当の逓減制導入などの方針を確認した。

税制関係では、「黄色蛍光ベスト」の抗議行動において、課税水準の高さへの拒否の念が明確に表明されたと言明、所得税減税(50億ユーロ規模)を予告通りに行う方針を示した。具体的には、最低課税率を14%から11%へ引き下げ、下から2番目の課税区分でも実質減税につながる措置を導入すると説明した。首相は減税の財源確保については明確にしなかった。

首相はこのほか、同性婚に絡んで、女性による人工授精の利用規制を緩和する方針を確認。7月末に閣議決定を予定するバイオエシックス法案に関連条項を盛り込むと約束した。首相は、政局運営において、国民の声に耳を傾ける姿勢を重視し、従来のともすれば傲慢と見える態度を改めるとも約束した。

 

Ynsect、昆虫飼育場をアミアン近郊に整備へ

Ynsect社は、アミアン市近郊のプーランビル市に昆虫飼育場を開く計画を進めている。2022年までの開所を計画する。1月に調達した1億1000万ユーロに続いて、6月11日には新たに2000万ユーロを欧州投資家から調達した。

同社は、ミールワーム(Tenebrio Monitor)を大量飼育する技術を開発。縦置きの場所をとらない飼育工場のコンセプトを開発し、2016年にはドール市(ジュラ県)に実証施設を開いた。アミアン近郊の新飼育場はさらにスケールアップを行い、年間2万トンのたんぱく質を生産する計画。投資額は1億ユーロ程度を予定、将来的に110人を雇用する計画。幼虫や培地材料を供給する企業や研究機関、顧客企業など20者程度が協力し、バリューチェーンを育てる計画。同社は製品のたんぱく質を、ペットフードの材料として供給しているが、養殖魚類の飼料とする許可を取得。将来的にはより広く、家畜飼料としての用途を拡大する。人の食用とする可能性も探る。

 

年金会計の収支改善に遅れ、社会保障会計全体も今年の黒字化は絶望的に

労使代表により構成されるCOR(年金方針評議会)は13日に年金会計収支の長期予測を公表する。黒字化の見通しを先送りする内容となる。報道によれば、2022年時点の年金会計赤字は対GDP比で0.4%相当となり、1年前の前回予測が0.2ポイント下方修正された。金額にすると90億ユーロ強の赤字となる。将来予測では、年間経済成長率を1.5%と仮定した場合で、黒字化の時期は、従来の2040年代初頭に対して2056年以降に先送りされた。年間成長率を1.8%と予測した場合でも、黒字化は2042年にずれ込む(従来予測は2036年)。公務員数の削減や国鉄(SNCF)の特殊年金制度の廃止に伴う効果が、短期的には保険料収入を押し下げる形で働き、収支の改善を遅らせるのが一因という。

これと関係して、社会保障会計全体の収支改善も遅れる情勢となっている。11日にまとめられた予測によると、2019年には当初、社会保障会計が全体で黒字化する予定だったが、これが「17億ユーロ以上の赤字」に下方修正された。政府が決めた購買力増強措置の影響が社会保障会計に及んだのが大きいといい、例えば特別賞与の非課税枠導入は、その分、社会保障会計の収入不足を招いた(最大で4億ユーロの収入欠損が発生)。

 

左翼政党「不服従のフランス(LFI)」で混乱続く

左翼政党「不服従のフランス(LFI)」の混乱が長引いている。リーダーのメランション下院議員が沈黙を守っており、今後の戦略が見えない状態が続いている。

LFIは先の欧州議会選挙で得票率が6.3%に留まった。メランション氏が出馬した大統領選以来で、得票率は低下の一途を辿っており、回復の道は見えていない。左派勢力内では上り調子の環境派に水を開けられ、厳しい状況が続いている社会党と大差ない得票率まで下がり、メランション氏の責任が問われる局面ともなっている。メランション氏はポピュリズムに軸足を移して左翼層の支持糾合を狙い、一時は支持を伸ばすことに成功したが、この戦略には欧州諸国の多く(ギリシャ、イタリア、スペイン)で陰りが見えている。ポピュリズムではより年季が入った極右勢力の方が動員力が高く、競合には歯が立たないという状況がある。メランション氏の場合、キャラが立ちすぎて左派陣営のリーダーとなることは望めず、その一方で党への支持はメランション氏の個人的人気に負っている部分が大きく、どのみち一定以上の支持は得られないという壁もある。加えて、党内では、ワンマン体制への批判も噴出し、党運営の民主化を求める内部文書をまとめた幹部のシャルロット・ジラール氏が、同文書のリークを経て離党を決める事態にも発展した。メランション氏がどのような見解を示すかが注目されているが、発表の日程や形式に関する情報はまったく得られていない。

 

緊急外来のストが拡大、11日に抗議行動

全国の病院で11日にストが行われる。ビュザン保健相に対して人的資源と予算不足を訴える機会となる。パリなどではデモも予定されている。

緊急外来では予算・人員不足を訴えるストが3ヵ月前から続いている。パリ市内のサンタントワーヌ公立病院の緊急外来で始まったストは、現在では地方も含めて80ヵ所程度に広がっている。公立病院のストでは、職員徴用により役務が確保されるが、このところは病欠により欠勤する職員が増えており、対応は一段と厳しくなっている。11日には、緊急外来に留まらずに病院部門全体を対象とする抗議行動を主要4労組(CGT、FO、SUD、CFE-CGC)が共同で呼びかけた。ビュザン保健相はこれより前、6日の時点で、緊急外来の再生を目指して作業部会を設置し、予算増額などを検討すると予告したが、職員側はこれを不十分として反発し、大規模な抗議行動を行うことを決めた。

折しも、保健改革法案が上院で採択間近となっており、同法案には、開業医などを含めた連携を通じて、医療体制の効率化を図る方針が盛り込まれている。ただ、その効果が浸透するには時間がかかると見られ、また、地域の医療機関の再編の方針を巡っては、地方の医療の切り捨てにつながるとする批判も声も上がっている。ビュザン保健相が医療機関の不満の声を抑えることができるかが注目される。

 

サノフィ、次期CEOにノバルティスのハドソン氏起用

仏製薬大手サノフィは7日、ブランディクールCEOが9月1日付で退任し、後任にポール・ハドソン氏が就任すると発表した。市場はこの発表を歓迎、7日にサノフィ株価は4%を超える大幅上昇を記録した。

ハドソン次期CEOは51才。英国出身で、一貫して製薬業界でキャリアを積んだ。現在はスイス同業ノバルティスの医薬品部門で最高責任者を務めている。サノフィのトップとして、新薬パイプラインの充実とデジタル化の推進が当面の課題となる。

ブランディクールCEOは2021年2月の定年(65才)を待たずに退任を決めた。CEOは、お家騒動を経て解任されたヴィーバッハー前CEOの後任として2015年に就任。それ以来で経営の巻き返しを進めたが、道半ばでの退任となる。足元では3四半期連続で増収を記録したが、利益率は2015年の16.13%に対して、現在は13.11%まで下がっている。

 

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