今週のフランス

政府、住民税全廃の方針の見直しを示唆

 「黄色蛍光ベスト」の抗議行動に絡んで、ルメール経済相は1月6日の時点で、住民税全廃の方針を見直す可能性を示唆した。住民税は地方税で、所得上位20%の世帯を除いて、3年間で段階的に廃止することが決まっており、2018年の納税額には3分の1の減額が施された。「黄色蛍光ベスト」の抗議行動では特に、高額所得者を優遇する「金持ちの大統領」としてマクロン大統領を批判する論調があり、ルメール経済相はこれを踏まえて、所得上位の世帯について、住民税廃止を見送る可能性を示唆した。経済相は、「国民協議」の機会にこの問題についても意見を募ると約束した。

ただ、所得上位20%の世帯の住民税廃止を見送ることは、法律論的に困難が伴う。住民税の段階的な廃止が立法化された際に、憲法評議会は、抜本的な税制見直しがなされるまでの間の暫定的な措置として承認可能とする判断を下しており、所得上位20%の世帯を置き去りにする形で制度が恒久化されれば、税制上の平等という憲法上の原則に抵触する恐れがある。また、「所得上位20%の世帯」と一口に言っても、その下限に位置する世帯の収入は、独身者の場合で月額2275ユーロ、子どものいない夫婦の場合で同7723ユーロ(いずれも手取り)に過ぎず、これらをすべて富裕者として括ることはできない。中流層はマクロン政権の支持層でもあり、選挙対策という点でも、住民税廃止を見送るのは難しい。そのため、住民税は全廃し、その代わりに一定以上の所得水準の世帯を対象にした所得税増額制度を導入するといった対案も検討されている模様。(「日刊メディアダイジェスト」1月8日より転載)

 

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