今週のフランス

英首相、EU首脳と離脱問題を再協議

英国のメイ首相は2月7日、ブリュッセルで欧州連合(EU)の首脳と離脱問題について新たな協議を行った。首相がEUとの間で取り決めた離脱協定案が英議会により否決された後、首相は協定の修正を要求するためにEUとの再協議に臨んだ。首相は協定案の内容について「法的拘束力のある修正」を求める方針を再確認したが、EU側ではユンケル欧州委員会委員長もトゥスク欧州理事会議長も協定案に関する再交渉には応じない姿勢を変えていない。

英議会が特に拒否しているのは、英国とEUの新たな関係を定めた合意の成立が難航した場合にアイルランド共和国と英領北アイルランドの間で物理的国境が復活するのを回避するためのバックストップ。これは、将来的関係に関する合意が成立するまで、英国全体がEUとの関税同盟に留まり、北アイルランドはモノの移動に関してEUとの単一市場に留まることを定めている。しかし期限が設定されておらず、離脱派は英国がいつまでも関税同盟から脱却できないことを警戒し、また、北アイルランドに国内のそれ以外の地域と違う特別な地位が付与されるので国の統一性が脅かされると反発している。メイ首相は英国がバックストップの「罠にはまる」ことを回避したいとしており、EU側は英国側の懸念を取り除くために、協定案に添えられた政治宣言の内容を修正し、将来的関係に関する合意の早期形成に向けてより野心的な内容を盛り込むことを提案している。

7日の話し合いについてメイ首相は「率直で建設的」な議論ができたとし、トゥスク議長は「まだ妥結の糸口は見えないが、協議を継続する」とツイートした。なお、トゥスク議長は6日にアイルランドのバラッカー首相を向かえて会談したが、その際に「安全に離脱を実現するための計画もないまま離脱を支持した人々」には「地獄の特別席」が用意されているなどと発言して物議をかもした。メイ首相はこうした発言は協議に障害になると苦言を呈した。

今後の日程としては、メイ首相とバラッカー首相の会談(8日)、EUのバルニエ交渉官と英国のバークレイ新EU離脱担当相の初会談(11日)、メイ首相とユンケル委員長の会談(2月内)などが予定される。協定案の方針を尊重しつつ、英議会による承認を勝ち取れるような落とし所を探ることが課題となる。

一方、英国の最大野党である労働党のコービン党首は7日、将来的関係について、英国がEUと関税同盟を結び、EUの通商政策にも口出しできる権限を確保し、共通の制度と義務を通じて単一市場に準ずる状況を維持することを政治宣言に盛り込むことを条件に、政府が提案する離脱協定案を支持する用意があると提案した。ただしこの提案には党内からも反発があり、首相がこれに応じる可能性も薄い。(「日刊メディアダイジェスト」2月8日より転載)

 

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