「フランス生活お役立ち情報」アンケート
会員のみなさまからのいただいたアンケート結果を項目ごとにまとめましたのでご覧ください。
「黄色蛍光ベスト」の抗議行動が5日に再び行われた。毎土曜日に行われている抗議行動はこれで8週連続となった。全国の参加者数は5万人(内務省集計)となり、年末に当たった前回に比べてわずかに増加した。それ以上に、暴力的な衝突が再び増加。パリのセーヌ河岸の小橋では、元プロボクサーが治安部隊に拳を振るって道を開く場面があった。映像により身元が特定され、7日朝時点で警察が行方を追っている。また、公共機関を狙った破壊行為が目立った。特に、グリボー政府報道官の執務室があるグルネル通りの官庁の扉を盗難建機で破壊し、中庭に暴徒らが乱入する事件が発生、報道官が一時、避難するという一幕があった。マクロン大統領は5日夜に、共和国を狙った暴力行為を許すことはできないとコメントして糾弾。与党LREMからは、左翼政党「不服従のフランス(LFI)」など一部の野党が「両成敗」的なコメントを出して、暴力行為を明確に非難していないのは卑怯だなどとして、野党側の対応を批判する声も上がっている。
新年明けましておめでとうございます。 平成31年(2019年)の年頭に当たり、一言皆様にご挨拶申し上げます。 昨年は、日仏友好160周年であり、ハイレベルの往来を通じて日仏二国間関係が飛躍的に深化した1年であったと共に,様々な局面で貴商工会議所と密接に連携をさせて頂いた1年であったと感じております。 この節目となる重要な年に、皇太子殿下が、御即位前の最後の外遊先としてフランスを選ばれ,9月7日から14日までリヨン、グルノーブル及びパリを御訪問されました。皇太子殿下が、各所で熱烈な歓迎を受けられ,温かなお人柄で精力的に交流に応じられていたことが印象的でした。マクロン大統領夫妻に、外国賓客の受入れとしては異例とも言えるご厚意により主催して頂いた、ヴェルサイユ宮殿での晩餐会では、皇太子殿下から、「長い歴史の中で両国民が、まさに絹を紡ぐようにして織りなしてきた強固な友好関係を実感された」とのお言葉を頂きました。日仏両国国民の長い交流の歴史を再確認し、更に次世代にも繋げていく素地を作ったという意味で、今回の御訪問は大成功であったと思います。 今回の御訪問が大成功を収めた要因は、経済・政治・文化等の幅広い分野において、両国間の多層的な交流がかつてない盛り上がりを見せていることにあると思います。 現在、日本は、フランスにおけるアジア最大の投資国で,フランスの雇用創出に貢献する5番目の国です。フランス国内に490社ある日本企業が、約7万4千人の雇用を産んでいます。二国間の協力は、自動車、航空機、原子力、デジタル、鉄鋼、食品等様々な分野において発展し続けています。日本の投資により生産された製品は、「メイド・イン・フランス」として、フランス製品の競争力と輸出を増やすために大きな貢献をしています。 昨年1月、マクロン大統領がヴァランシエンヌの工場を訪問した機会に、トヨタは3億ユーロの投資と700人の新規雇用を発表しました。マクロン大統領が工場を視察した際には彼の握手を断る従業員は一人もいませんでした。私もマクロン大統領と握手をしましたが、彼の手は熱意のためか湿っており、私が手を引こうとしても握手を離そうとされませんでした。マクロン大統領は私に対して、「この工場にいると、自分がフランスにいるのか、日本にいるのか分からなくなる。このような気持ちになるのは、この工場が成功しているからだろう」と述べられました。これはヴァランシエンヌ工場が地域社会に溶け込むことに成功していると実感されたマクロン大統領の気持ちを示すものだと思います。 ポピュリズムに後押しされたナショナリズムの台頭など、激しく揺れ動く世界の中で、国際社会の主要アクターである日仏両国が、両国の対話を深化させ、共通の利益を追求し実現させることはより一層重要になってきています。私は駐仏大使として、民間レベルだけでなく国家レベルにおいても強靱で特別な二国間交流が活発化していることを頼もしく思います。これまで、安部総理とマクロン大統領は、昨年10月の訪仏を含めて計5回の首脳会談の開催を通じて,お互いの信頼関係を確固たるものとしています。日仏は、歴史的に共通の価値観で結びついており、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有する特別なパートナーであり、歴史、文化、経済、産業などの面でも多くのことを共有しており,来年のG20、G7の議長国として緊密な連携が図られることは疑う余地がありません。 先に言及した皇太子殿下との晩餐会において、マクロン大統領は、「私達は、世界で最も古い国家を継承する者です。その歴史に根付いた、自らの運命を切り開く者達です。自由・民主主義・正義を選んだ二つの国家です。私達は、融和、協力、そして強者の論理ではない、すべての人々への配慮と権利を基盤とした今日の世界秩序の担い手です。」と発言されました。 保護主義的な動きが世界で広がる中,昨年7月,日本と欧州は,世界秩序の担い手として,そして自由貿易の旗手として,日本とEUの両首脳は,日EU経済連携協定(EPA)に署名し,世界をリードしていくとの揺るぎない政治的意思を世界に鮮明に示しました。今後も,日EU・EPAを礎に,WTOを中心とする多角的自由貿易体制を堅持・発展させていきたいと考えています。昨年12月中に日・EU双方が協定発効のための国内手続を完了できたことから,日EU・EPAは今年2月1日に発効することとなり,日本と欧州の企業がこの協定から具体的利益を享受できるようになります。 また、ジャポニスム2018に触れないわけにはいきません。日本政府として類を見ない規模で行われる一大文化発信事業であり、昨年だけでも、およそ60件の展覧会や舞台公演等を開催しています。日本文化の起源とも言うべき、古代・縄文時代の土器、宮内庁秘蔵の若冲、古典芸能である歌舞伎から、最新のメディア・アート、漫画・アニメまで、日本の芸術文化がまるごとフランスにやってきています。私自身、数ある企画・展示会に足を運び、日本の美意識を再発見しました。同時に、多くのフランス人の観衆が、日本の美を理解し、賞賛している様子をみました。多くの方から、既にジャポニスム2018は既に大成功であると聞いています。私からは、「ジャポニスム2018の成功は、これを受け入れてくださっているフランスの皆様のおかげです」とお答えしています。 私は駐仏日本大使としてよく、「日本文化について一番よく理解するのはフランス人であり,フランス文化を一番良く理解するのは日本人である」と話しています。日仏両国は、世界に輝く芸術・文化を有しています。ジャポニスム2018が、日仏友好関係を更に強固なものとし、フランスから世界に日本の魅力を実感していただきたいと思います。更に、大規模スポーツイベントについても、今年に日本,2023年にフランスがラグビーワールドカップを開催し、2020年に東京、2024年にパリがオリンピック・パラリンピック競技大会を開催するという、日本からフランスへの流れがあり、これを上手く日仏関係の一層の進展に繋げていくことが期待されます。 最後に、昨年、2025年の国際博覧会の大阪開催が決まったことをお伝えしたいと思います。2017年4月の2025年国際博覧会への日本の立候補表明以来,総理や閣僚,経済界の方々の他,万博特使に任命されたピカチュウやキティちゃん等も加わって,まさにオールジャパンでパリを含む各国の首都における働きかけを実施し,一カ国ずつ支持を確保すべく地道な努力を積み上げてきました。在フランス日本国大使館も、パリにおける万博誘致活動に全力で取り組んできました。昨年11月23日、私は,世耕弘成経済産業大臣,阿部俊子外務副大臣,河村武夫議員,竹本直一議員,榊原定征日本経済団体連合会名誉会長,松井一郎大阪府知事,吉村洋文大阪市長,その他経済界の方々と共に,第164回BIE(博覧会国際事務局)総会において実施された2025年国際博覧会の開催国決定投票に立ち会い,日本が開催国に決定する歴史的瞬間を目の当たりにしました。2025年国際博覧会には,日本の大阪・関西の他,ロシアのエカテリンブルク及びアゼルバイジャンのバクーが立候補しており,日本の代表団が固唾を飲んで見守る中,第一回目投票では開催国が決まらず,決選投票で日本が開催国に決定しました。選挙結果が判明した瞬間,日本の代表団の控え室は大きな歓声に包まれ,私も気づけば思わず大声を上げていました。しかし,喜びもつかの間,今後は,万博の実施に向けてこれまで以上の努力を続けていかなければなりません。日本は,開催国決定投票の前に行われたプレゼンテーションにおいて,①国連が掲げる2030年の「持続可能な開発目標(SDGs)」達成に貢献する万博にすること,②参加国と「共創(Co-creation)」する万博にすること,③安全安心で快適な万博にすること,の3点を強調しました。このような日本の考える魅力あふれる新しい万博像を実現するため,今後ともオールジャパンの体制で開催準備に全力で取り組んで行きたいと思います。 貴会議所会員企業をはじめ、当地でビジネスを営む皆様の御健勝、御安寧、ますますの御発展を祈念するとともに、私自身先頭に立ち、日本大使館は、今後とも、貴会議所の皆様をはじめ、在仏日本企業の皆様と一体となって、共に悩み、共に考え、共に行動する所存であることをお伝えして、新年の御挨拶といたします。 本年も、何とぞよろしくお願いいたします。 駐フランス日本大使 木寺昌人
2019年業界見通し(商社) 新年明けましておめでとうございます。年の初めにあたり、在仏商工会議所会員各社の益々のご繁栄と、会員各位およびそのご家族のご健勝をお祈り申し上げます。 30年続いた平成が幕を閉じ、新たな元号を迎える今年、世界の政治・経済・ビジネス環境はひと時も同じ場所にとどまらない、めまぐるしい動きを見せています。 昨年末までの欧州経済は比較的堅調で、量的緩和の終了後、今年後半には利上げも予想されますが、政治の不安定要素が多く、BREXIT、欧州経済を長年けん引したドイツのメルケル政権の弱体化、イタリア、北欧、中・東欧のポピュリズム台頭などの懸念が燻ぶっています。 フランスでは、マクロン大統領は一昨年の就任後一貫して経済政策を優先。企業寄り労働法改正断行に続き、国家の競争力増強のため減税実施、他方、財政赤字を減らすための歳出カットでEU財政規律を遵守する構えで、これを格差社会助長政権と見た国民の同政権への支持率は低迷、特に昨年11月中旬以降毎週Gilets Jaunesの大規模デモから派生した暴動に屈した様子で、同政権の改革が頓挫すれば、フランスのみならずEUの政治・経済へのマイナス効果が懸念されます。米国の時代錯誤的な保護主義政策が同国経済を弱体化させることが自明になりつつある現在、欧州の経済が躓くと、世界の経済の潮目が変わる予感がします。 世界経済の素人予想はさておき、フランスが重視する将来の経済成長は、イノベーション、デジタル、気候変動対策、持続可能社会に向けた投資によるものとされ、商社もこれらの戦略を注視して行くと思います。 日本と欧州間では、政治、経済両面での提携強化が進み、日本EU戦略的パートナーシップ協定、および日本EU経済連携協定の発効をもって、日欧間で、相互に強みを持つビジネスが推進されるでしょう。また、来年の東京オリンピックを控え、テロ・サイバー対策などもビジネスの対象となる一方、日本が誇る質の高い「衣食住」を世界中の方々に一層発信する機会となり、日欧間のヒト、モノ、カネ、サービスの動きが加速すると予想します。さらに、欧州と歴史的に関係が深いアフリカとのビジネスについても、日欧の協力・提携がますます重要なテーマになろうと思います。 欧州のエネルギー政策は、環境問題対応、ロシアのガスからの自立をテーマに動き、フランスにおいては政策的な自動車産業の電気自動車への誘導や、原子力発電の再構築が課題です。原子燃料サイクル関連ビジネスは過去40年以上、日仏間貿易の大きな柱でした。現在、自国内で原子炉58基を運転し、国内外で新型原子炉を建設中のフランスは、昨年末に発表した「数年次エネルギー計画」において、2035年をめどに電力供給における原発依存度を現在の75%から50%に低減することを明示しました。今後は、その減少を補う再生可能エネルギーと蓄電等の付帯技術の開発の加速が見込まれ、欧州では、競争激化や売電価格の下落などにより事業環境は厳しくなりつつも、発送電・蓄電・エネルギーマネジメント関連ビジネス拡大が期待されます。 その他、環境に関して昨年年初に欧州委員会が発表した「欧州プラスチック戦略」は2030年までに欧州市場のすべてのプラスチック容器包装をリサイクル可能なものにすることを掲げ、欧州の新たな投資・雇用機会の創出を生みだすことが期待されます。 商社にとって、地球環境をめぐる様々なビジネスは、今後、増々重要になると思います。 双日欧州会社 パリ支店長 吉澤 顕 (よしざわ あきら)
在仏日本商工会議所会員の皆さま 新年明けましておめでとうございます。 2019年の初頭にあたり、謹んで新春のお慶びを申し上げます。旧年中は在仏日本商工会議所の活動へ多大なご理解、そしてご参加を賜りましたこと厚く御礼申し上げます。また我々の活動に格別のご支援を賜りました木寺全権大使をはじめ在仏日本国大使館、総領事館、領事事務所や日仏関係各機関の皆さま方に在仏日本商工会議所を代表致しまして心より御礼申し上げます。 2018年は我々在仏日本商工会議所にとりまして設立55周年という節目の年であり、日仏関係も友好条約締結160周年という特別な年となりました。特に昨年7月からフランス各地で日本文化の粋を伝え、共通価値観を更に創造するイベントである「ジャポニスム2018」が始まり、そして大きな成功を収め、記念の年に彩りを添えて頂きました。また皇太子殿下をフランスでお迎えし、マクロン大統領をはじめ多くの方とお会い頂き、また多くの場所をご訪問頂きフランスと日本の繋がりを更に強めて頂いた事も大変光栄でした。 このように日仏関係が強化される中で、我々在仏日本商工会議所も活動の裾野を広げ、更にÉquipe-チームとして纏まり、更に一歩前へ進む事が出来ました。会員の皆様から頂戴したビジネス上の課題や要望 を纏めたポジションペーパーをフランス政府関係機関や地方商工会議所などへ渡し環境改善を強く申し入れました。また昨年は地方の会員に商工会議所活動により触れて頂くべく、10月にリヨンでビジネスセミナーを開催致しました。2019年もこのような活動を是非継続して参りたいと思っております。 またチームとしての力を高める柱の一つである仲間を増やすという点でも、皆さまのお力添えのお陰で成功を収める事ができました。改めて御礼を申し上げます。 さて2018年のフランスを少し振り返ってみますと、「様々な材料が重なった複雑な年」と言えるのではないでしょうか。前半はマクロン大統領の推進力によりフランスが不透明な欧州においてリーダー的な役割果たし、そしてサッカーのワールドカップでは見事我が「LES BLEUS ーフランス代表」が若手の大活躍により2度目の優勝を遂げるなどダイナミックでポジティブなイメージが高まりました。 しかしながら年末にかけてはフランスの非常に難しい点が「黄色いベスト運動」によりクローズアップされる展開となりました。まさに7月に優勝パレードで賑わったシャンゼリゼ通りや凱旋門でデモ隊と警察が衝突する姿を映し出す報道は非常にショッキングなニュースとして世界中に伝えられました。引き続き情勢には注視が必要ですが私は新たな年に政治、経済、社会的に安定をとり戻し、1日でも早くフランスが再び不透明感が高い欧州でリーダーとして牽引していくことを期待しています。 2019年の欧州は年初から様々なイベントを迎える事になります。Brexitの行方は非常に重要で注目されます。日EUのEPAも2月には発効される見込みと伝えられています。また保護主義の台頭などにより世界経済は「不透明」な状況が継続する可能性もあります。そのような「不透明感」が高い年であるからこそ、我々在仏日本商工会議所は情報や課題を共有し、Équipe-チームとしての力を更に高めて参りたいと思います。是非皆さま宜しくお願い申し上げます。一緒に更に前へ進めて参りましょう。 最後になりますが、2019年が会員の皆さま、ご家族のご健勝、ご多幸を祈念致しまして私のご挨拶とさせて頂きます。 在仏日本商工会議所会頭 小林史人
2019年空調業界の見通しと住宅セクターにおける仏政府の脱炭素戦略動向に関して 新年明けましておめでとうございます。 日仏友好160周年となる2018年は多くの文化交流イベントが開催される両国にとりまして「熱い一年」となりました。またフランス空調業界にとりましても「長くて暑い夏」の到来に加え、観光産業の回復や好況な小売業、依然として高い個人住宅需要や商業用途ビルのニーズなどに支えられた一年で、業務用・家庭用それぞれの空調機器需要は2桁の成長となる活況の一年となりました。 一方でこの「長くて暑い夏」を少し掘り下げてみると、多くの不安や課題が見える一年でもありました。長く続いた(真)夏日により全国的に水不足が発生。フランス北東部の7月は南仏以上の猛暑日が連続する時期もあり、2003年にフランスを襲った猛暑を上回る最高気温をフランスの多くの地点で観測。地球温暖化や気候変動を改めて感じさせられる一年でもありました。 そのような環境の中、2019年はパリ協定を背景に仏政府が掲げる国家低炭素戦略(SNBC)の定量目標達成に向けた動きが更に加速されると考えており、運輸に次ぐ二酸化炭素排出分野である一般住宅セクターにも様々な動きが見られます。具体的には都市ガス網が整備されていないことから政府がインセンティブを与えていた都市ガス未整備地域(オフガス地域)で使用される石油燃焼系ボイラー購入に対する税還付インセンティブが廃止。同時に該当ボイラーからエアコンなどで採用されるヒートポンプ技術を採用した非燃焼系ボイラーへの置換えの際には従来以上の政府インセンティブが付加されるなど、仏政府の脱炭素への取組みの「本気度」を感じることができます。 新築戸建住宅には熱エネルギー規制が2013年より適用され、近年の仏新築住宅は急速に高気密高断熱化が進められています。この規制は消費エネルギーを削減することによる地球温暖化抑制を目的としていますが、2019年~20年にかけて更に厳しい規制の導入検討が行われています。同時にこれまで比較的規制が緩かった集合住宅の規制の導入検討も考えられることから、エネルギー消費削減による二酸化炭素排出削減の動きは当面加速することはあっても減速する動きは見当たりません。 また空調機に主眼をおいて地球温暖化抑制を考える場合、上述の脱燃焼や更なる省エネ追及による地球温暖化抑制とは別に空調機自体が搭載するフロンガス(HFC)での取り組みも加速しています。欧州全体の動きとして地球温暖化の一因となっているオゾン層破壊係数(GWP)の高いフロンガスからの脱却が進んでおり、仏政府は段階的にGWP値基準でフロンガスの市場供給量を抑制、自然冷媒化を推し進めています。結果、この一年で急速に低GWP化が進んでおり、その流れを加速させる為にも19年の早い時期に関連する法律の一部改定が行われる見通しです。 上述の通り、空調業界から見るフランスによる環境取組への挑戦は「脱炭素(脱燃焼)」「消費エネルギー抑制」及び「低GWPの取組み」など多岐に渡る取組の集合体で、それぞれに呼応する技術をIoTやAIをもって結合させることで新たなニーズに適応することが次のビジネスチャンス獲得に繋がると考えています。 ダイキンエアコンディショニングフランス 西村 英記
新年明けましておめでとうございます。 本年もどうぞよろしくお願いします。 東京では2020年のオリンピックに向けて、湾岸エリアを中心に様々なビッグプロジェクトが建設中です。さらに2025年の大阪万博も決定し、日本の建設業界にとってはグローバルなイヴェントに投資する機会が再び担保されたといえるでしょう。一方で、東京オリンピックの次の2024年の開催地がパリに決定し、昨年11月には小池都知事がパリ市庁舎を訪問し、新しい形のオリンピック・パラリンピックに向けて互いに協力しあっていくことをイダルゴ市長と約束しました。 日仏の建設業界を取り巻くこうした短期的な動向の一方で、より長期的な視点から今後の動向をみると、いくつかの大きな潮流があると思われます。例えば日本では、人口減少や少子高齢化による建設現場における人手不足が深刻化し、工期の遅れや工費の高騰、さらには建物の品質の確保が難しい状況となっています。それに対しては、建設現場でのAIロボットやIoT技術の活用、女性に配慮した現場の環境整備を含めて、それらの積極的な活用が進められています。 パリや東京といった大都市で様々なプロジェクトが新たに始まると、人間と資本と情報が都市に集約し、大都市はさらに巨大化していきます。パリ市はすでに、周辺コミューンを加えたいわゆるグラン・パリ構想を掲げて、既存の地下鉄ネットワークの延伸や、パリ周辺の様々な地域に新たな拠点をつくるプロジェクトの牽引役となっています。一方、すでに郊外が満杯状態の東京では、唯一残っている湾岸エリアの埋立地を建物で埋め尽くしているといったところでしょうか。 こうした都市への過度な人口集中によって、そこにはまた新たなビジネスが生まれ、これまでの産業構造は大きく変化していくと思われます。そのような状況に対して建設業界では、主要事業である建設業の一層の強化に加えて、エンジニアリング分野や設計段階を含めた建設への事業拡大に取り組むとともに、開発系事業、管理業事業、PPP/PFI等の企画提案型事業といった建設業以外の事業展開の重要性が高まっています。 昨年も世界中の至る所で様々な自然災害がありました。ギリシャではヨーロッパ史上最悪となる山火事が発生、多くの死者が出ました。アメリカ西海岸地域も含めてこうした状況は更に拡大する可能性があります。北アフリカや日本においても、夏は極端な高温が続く中、ゲリラ豪雨により多くの地域で洪水被害が報告されました。世界中で連鎖する気候変動、その要因が新興国を含めた都市への人口集中と関連していることは容易に想像がつきます。 多発するこうした災害に対して、建設業界はどのような理念をもって向き合うべきでしょうか。例えば国内では、リスク管理型社会の構築に向けて防災基準や環境規制の一層の強化が進められており、それに準ずる形で建設業界の基準整備が行なわれています。一方で、災害時の生活支援や災害後の復旧活動も建設業の重要なミッションであると考えます。防災と復興のための新しい技術、そして環境負荷の少ないサスティナブルなまちづくりへと、建設業界の社会的役割はより多様性に富んだ方向に進んで行くことになるでしょう。
新年おめでとうございます。 序 パリに着任して早半年以上も経ちました。このたび「新年特集・業界見通し」の大役を仰せつかりました。実際に着手しますと「ベテランの皆さまの手前、さて困った」というのが正直な感想です。そこで大味とはなりますが、広義な意味での金融セクターに関しまして、2019年のA「相場の手懸かり」とB「キーワード」について以下申し述べます。あくまでも私見です。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― A <相場の手懸かり> ① 2018年中に言われ続けていたのは、米国の金融政策の正常化に伴う新興国からの資金流出の懸念であったが、マーケットに不確実性をもたらしたのは米中の貿易摩擦であった(12月現在、追加関税の90日猶予の合意で問題は先送りのかたち)。 ② 中国を現地取材した弊社アナリストや在香港の弊社セールスでは中国のサプライチェーンや消費者センチメントは相当打撃を受けていると観察。また弊社チーフエコノミスト(アジア担当)のケヴィン・ライは11月の経済指標を受けて「需要の前倒しが終わり、貿易戦争の打撃がついに顕在化した可能性」を指摘している。 ③ 問題点はなにか: 1)2019年に入っても不確実性が長引く場合、米中貿易摩擦を長期的なイベントと判断して、企業ではグローバルに設備投資や雇用を抑制する可能性が考えられる。この点、弊社アジアパシフィック・チーフストラテジストのポール・M・キトニーのコメントは次のとおり:「2019年初頭の短い期間に貿易協定や停戦が実現しなければ、市場の注目が2019年後半から明らかになると見込まれる世界経済の減速へと移る公算は大きい」(注1)。 2)一方、経済が強ければ金利上昇するはずの米国金利が抑え込まれているのは、拡張的な財政政策の効果剥落をマーケットが織り込んでいるからと捉えることができるかも知れない。 3)また弊社チーフマーケットエコノミストの岩下真理の言葉を借りると、「2019年は世界的な減速に向かう、足元は曲がり角にある。日本の景気は足踏み状態(緩やかな景気回復局面は継続)ながらも、海外リスクに振り回される、迷い道にいる状況となりそうだ」。 ④ そうであれば、グローバルに長期金利に低下圧力が強まり、株価の観点より、金融セクター全体を上向きに動かすきっかけが見出しにくくなる可能性も考えられる。12月には日本・アジア株運用のパリの機関投資家の間では、総じて慎重スタンスを保っていた。 B <キーワード> ① 趣向を変え、2019年の金融セクターにおいて注目すべきキーワードとして、引続き「SDGs」が挙げられる。 ② 「SDGs」(Sustainable Development Goals)とは、ご存じの方も多いかと思うが、2015年の国連サミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」として、世界150ヵ国を超える加盟国の参加のもと採択したイニシアティブ(注2)。 ③ 「SDGs」の特色として、次の3点: …
平成31年、平成最後の新年、明けましておめでとうございます。 昨年は暴動やテロ等のネガティブなニュースで暮れましたが、今年は平和で穏やかな年になって欲しいと思います。 過日のJNTO発表によりますと、2018年11月までの日本人出国者数は前年比5%増の17百万人強、訪日外国人数は夏以降の災害影響があったものの、史上初めて30百万人を突破したということです。 2003年のビジット・ジャパン・キャンペーン開始時に5.2百万人だった訪日旅客数は、2013年に10百万人、2016年に20百万人を突破しており、驚異的な伸びを続けています。 日仏間に限って至近の状況を振り返ってみますと、日本発フランス行き旅客数は2015年の同時多発テロの発生を受け、2016年に半減したともいわれています。2017年は年明けから回復基調となり、2018年はJaponismes2018関連の動きにも押され、フランスを訪れていた日本人の数の多さは街中で日本語を耳にする頻度からも実感できたことでした。 一方で2003年には8.5万人だったフランス人の訪日旅客数は2010年には15万人を突破します。翌年、東日本大震災の影響で一旦10万人を割りつつも、2015年には21万人強、2018年には30万人を超えると思われます。 そうした状況で迎えた2019年。 今上天皇陛下の退位、新天皇陛下の即位は2019年の大きなイベントのひとつですね。 そこで、個人的に業界関連で気になるイベントをざっと抜き出してみました。 2月迄 Japonismes2018 2月 日欧EPA発効 3月末 BREXIT 5月 新天皇即位、元号変更、10連休 5月 欧州議会選挙 6月 G20(大阪) 6月 FIFA 女子ワールドカップ(仏各地)~7月7日 6月 パリ航空ショー(Le Bourget) 8月 G7(ビアリッツ) 9月 ラグビーワールドカップ日本大会 ~11月2日 10月 即位の礼(22日) 2020年の東京オリンピック/東京パラリンピックの陰に隠れている感もありますが、2019年もイベントが続きます。10連休も先日決定を見たようです。休日増は確実に旅行需要の創出につながりますし、まとまった長いお休みはヨーロッパにも出かけやすくなります。 フランス発の訪日旅客数についても、各種イベントによって向上された日本のプレゼンスは旺盛な旅行需要のきっかけとしても期待されます。Gilets Jaunes運動に伴う暴力沙汰や欧州議会選挙前後の動向含む政治的不透明さは今後の懸念材料として見ておかざるを得ません。 物流に目を転じますと日欧間の航空貨物の足下状況は、日本発は自動車部品出荷増等により好調、欧州発についても前年度は下回るものの同じく好調に推移しています。2019年については、日欧EPAの発効に伴う更なる活性化に期待が持てる一方、先のOECD見通しでも示された世界的な景況感の下げ基調をリスクとして認識しておく必要があります。 上記の通り、航空旅客、航空貨物は日本発・欧州発ともにリスク要素を抱えつつも基本的には堅調に推移すると思われます。 世界で長年続いてきた前提条件ともいうべき各種環境が変わり始め、2019年はこれらの方向性が定まっていく年であるように感じています。いずれにせよ冒頭に記したとおり、平和で、会員皆様にとって有益な年になることを願ってやみません。 最後に少しだけ弊社関連情報です。 弊社の新機材、欧州製のエアバスA350-900も今年半ば、国内線にデビュー予定です。 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
2019年化粧品業界の見通し 新年明けましておめでとうございます。Iwase Cosfa Europeの岸部です。 日頃よりCCIJFの活動にご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。 私のような若輩者が偉そうに語る内容ではないのですが、私見にお付き合いいただければ幸いです。 Euromonitorの調べでは、世界のbeauty and personal care市場は全体でUSD464.8 billionあり、スキンケアUSD124.4 billion, ヘアケアUSD75.1 billion、メイキャップUSD66.0 billion、香水USD49.4 billion、その他USD149.9 billionとなっています。 過去5年間は約5%の成長率を維持しており、世界的に見れば好調なマーケットだと言われていますが、地域別セグメントで見てみると西ヨーロッパでは成長率は低く、ラテンアメリカではインフレによる影響で減少傾向にありました。 注目される商品としましては、高級化粧品があります。2022年までの予想では一個当たりの商品金額が現在より10%以上高い金額設定が予想されています。現在、北米での高級化粧品のベストスコープは1個当たり85ドルを意識しており、更なる価格の上昇が見込めます。また、高級化粧品の世界的市場としては60%が北米と中国に集中しています。将来はUSD67 billionまでマーケットが拡大すると言われていますが、化粧品という分野では必ずしも高価で機能性があれば売れるという訳ではなく、ブランド、イメージ、マーケティングクレーム、機能性等、様々な要因が考えられます。 世界市場としては、スキンケア分野で31%の成長が5年後までに見込まれています。最も大きな成長性がある市場はアジアです。メイキャップ分野での成長率は20%とスキンケアと比べると低い数字となっていますが、引き続き好調を維持しています。前述したアジア市場は勿論ですが、ラテンアメリカも高い成長性がある市場と言われています。アジアにフォーカスしてみると、世界の市場成長のエンジンと言われる伸びを示しており、予想では数年後には約半分の売上を世界市場の中で生み出すといわれています。日本市場も好調を維持しており、中国やその他のアジアパシフィックからの観光客需要、越境EC等の影響で各社今までにない成長となっています。アジアに次いで市場の成長性が高い国となっているのがブラジル、インドです。インドにおいてはは将来世界で5位の市場になると予想されています。 *国別市場ランキング予想 2017年:1位US、2位中国、3位日本、4位ブラジル、5位英国、 2022年:1位US、2位中国、3位ブラジル、4位日本、5位インド 販売方法にも変化がおきています。今までは百貨店、専門店、ドラッグストア等での販売が主流だった化粧品ですが、専門店はより専門的にシフトし、インターネットでの売買によるEコマースの一般化が進み、この分野で高い販売実績が上がってきています。世界第一位の売上を誇るL'Oréal社の売上は既に20%がEコマースによるものとなっています。 企業別売上を見てみると過去5年間で超大型買収は無く、世界企業ランキングは変わっていません。 *企業別売上高ランキング 1位L'Oréal、2位P&G、3位Unilever、4位Colgate、5位Coty、6位Estée Lauder、7位Johnson and Johnson、8位Beiersdorf、9位Shiseido、10位Kao 時代は急速に変化しており、beauty and personal care市場では今まで美白、アンチエイジング、保湿等、機能性にフォーカスが置かれていましたが、今後は下記のようなキーワードが注目されると予想しています。 Agility:俊敏性、市場への早急な対応 Healthy:ライフスタイルにおいての健康を維持する Ethical Living:商品に使用される原材料や販売企業の社会貢献性 Connected:使用するユーザーのニーズを個々に吸い上げ対応 Premiumisation:一般製品との差別化 商売としてモノをつくり、そのモノを売上、利益を得る構図は変わっていませんが、その利益を今まで投資していた経営資源と同様にESG(環境Environment、社会Social、ガバナンスGovernance)に投資する事が化粧品企業のブランド力に代わっていく時代に突入していくと個人的に感じています。