ルコルニュ首相、施政方針演説で年金改革の施行中断を提案
ルコルニュ首相は10月14日、国会で施政方針演説を行い、2026年予算法案を提出した。
首相は年金改革の施行中断を提案すると約束した。
政府は下院で過半数を持たず、内閣不信任案により退陣に追い込まれるのを避けるためには、不信任案に合流しない勢力を過半数に保つ必要がある。
社会党を不信任案から遠ざけることができるかが鍵となり、ルコルニュ首相はこのため、社会党の要求に即して年金改革の施行中断を提案することを決めた。
2023年に導入された年金改革は、定年年齢を段階的に引き上げる内容だが、政府は、これまでの引き上げ分はそのままにして、次期大統領選挙が行われる2027年に発足する新政権に決定を委ねる形で、2028年1月1日まで改革の施行を中断することを決めた。
年金拠出期間についても170四半期のまま、同じ期間について据え置くとした。
首相はまた、予告済みの「49.3」非行使の方針を再確認。
これは、採決なしに法案を採択させる憲法上の手段だが、首相はこれを用いずに、国会の審議を尊重する形で、予算法案の採択を目指すと説明した。
社会党はこれを歓迎しているが、社会党所属の議員の一部は、党が決めた不信任案に合流しないという方針に反発しており、対応は一枚岩ではない。
左翼勢力と極右勢力がそれぞれ提出済みの不信任案の投票の行方が注目される。
▽国民の負担強化を盛り込んだ予算法案
同日に提出された予算法案は、財政赤字の対GDP比を、2025年の5.4%に対して、2026年に4.7%へ圧縮する内容ではあるが、国会審議の過程で赤字額が当初案より膨らむのは確実となっている。
政府は5%以内まで圧縮することを目標としている。
支出面では、対GDP比で0.8ポイント分の節減達成(400億ユーロ)を目標として、3119人の公務員数削減などを盛り込んだ。
収入面では0.5ポイント分の増加を見込んで、一連の措置を盛り込んでいる。
まず、所得税課税区分額のインフレ率並み改定の見送りにより19億ユーロが確保される。
20万世帯で実質増税となる見込み。
このほか、資産家が設置する持株会社による課税回避を封じる目的での課税標準見直しにより最大15億ユーロの税収増を確保する。
中国からの商品輸送を念頭に置いた小包課税(2ユーロ)も導入される。
各種給付額もインフレ率並みの改定が見送られ、据え置きの対象となる。
所得額の10%の控除制度は、年金受給者については2000ユーロの定額控除に切り替えられる。
バイオ燃料に係る免税措置も削減され、E85の場合は小売価格が1リットル71ユーロセントから120ユーロセントへ上昇する。
