CCIJF – 在仏日本商工会議所

新型コロナウイルスのお話

皆様、こんにちは。

中国から始まった新型コロナウイルス感染症がついにヨーロッパでも広がってきているようです。皆様におかれましてはご自身やご家族の健康も心配でしょうが、日常業務や日常生活にも大なり小なり影響が出ていることと存じます。

私は感染症専門医ではないので、こと新型ウイルスについては多くを知っているわけではないのですが、コラム執筆の要望もありましたので、僭越ながら私の見解を少し述べさせていただきます。
新型ということもあり、科学的に根拠の薄い話も混ざっている可能性があり、のちに否定されることも含まれていると思います。

新型コロナウイルスが恐れられている理由として、インフルエンザなみに感染力が強く、それ以上に重篤化しやすいことが挙げられます。また現時点でワクチンがなく、「タミフル」のよな治療薬もありません。
重篤化とは主に風邪症状から肺炎になり、呼吸不全のために最悪の場合は死亡してしまうことです。
細菌性肺炎と違って抗生物質は効きません。したがって基本的には自分の免疫力で治るのを待つしかないのです。
呼吸不全になった場合は、人工呼吸器の力で、体に酸素を送り込み続ける必要がありますが、この機械はそもそも台数が限られているのと、使える場所が原則としてICU(集中治療室)に限られるために、短期間に多くの患者さんが呼吸不全になってしまうとすぐにパンクしてしまう恐れがあります。そうなると通常なら助かる患者さんも助からなくなるでしょう。

この病気は治療がないので、かからない様にすることが肝要です。
自分がかからなければ人にうつすこともなくなり、そのうち社会から消えてなくなるはずです。
これまでのニュースによると、屋形船、教会やライブハウスなど、多くの人が密閉されたような空間に長くいることが一番のリスクになるようです。従ってなるべく人込みを避けることが大事です。
他にはこれまでインフルエンザでも言われていたように、うがい、手洗い、マスクの着用(これは諸説あり、いまだにフランスでは医者ですらあまりつけていません)はやっておくに越したことはないでしょう。なるべく顔を触らないほうがいいと思います。
他に私が実践していることとしては、1)空気清浄器(今は花粉も飛んでいるので一石二鳥です)2)眼鏡をかける(元から使用してますが) 3)ビタミンDをのむ(日本の論文でビタミンDがインフルエンザ予防に役立つという報告が一応あります。コロナでも同じかわかりません。)4)犬の糞を見たら息を止める(本当かわかりませんが、犬に感染することもあり、ウイルスが便中にも検出されたというニュースを見ました。本当ならパリでは特に要注意です。)5)1日何回もアルコールジェルで診察室を拭きまくってます。私は医療従事者なので、結構予防に気を使っていますが、一般の方はあまり神経質になると精神を病んでしまいますから、やりすぎもよくないです。

もし新型コロナにかかってしまったと思ったら、どうすべきでしょうか。
残念ながら、インフルエンザの様に簡易判定キットがありません。
数日前に読んだ記事には「かかりつけ医に検査オーダーをもらって、検査センター (laboratoires de ville)に行けば検査してもらえるようになる」と書いてありしたが、少なくとも今日現在(3月11日)私の周辺では、まだそのようにはなっていません。
やはり大使館からお知らせ頂いた通り、15番に電話をかける必要があります。かなりつながりにくいようなので、根気よく待ってください。
フランス語の住所は発音が難しいものが多くて、いざ救急車を呼ぶときに、向こうに住所が伝わらないことがありますので、少し練習しておくといいです。症状(熱と咳)がないとまず検査してもらえませんので、症状が軽微の場合は電話しても意味がないと思います。ただし症状が軽いからと言って新型コロナにかかっていないとは言えないので、人にうつさないように気を付けるべきです。

とにかく早く終息してくれることを心から願っております。