CCIJF – 在仏日本商工会議所

海外旅行と感染症予防対策

最近では中南米やアフリカ、東南アジアなど熱帯地域への旅行者・出張者が増えているようですね。これらの国々の多くで発生、流行している感染症は日本やヨーロッパで見られるものとは異なります。渡航先によって推奨されている感染症予防対策があるのはご存知ですか。

  1. 海外渡航時、何に気を付ける?

熱帯地域では特に蚊が媒介する感染症が多く、虫よけや蚊帳の使用、肌の露出を控えるといった蚊への対策が必要です。野犬や野鳥など動物には安易に近づかない、また生水は飲まない、加熱されていない食品は避けるなど衛生面にも気を配る必要があります。

  • 予防接種

海外渡航時に義務付けられている、もしくは推奨されている予防接種の種類は渡航先、滞在期間、滞在形態、健康状態などによって異なります。特に熱帯地域へ渡航する場合、狂犬病、黄熱、A型肝炎、腸チフス、日本脳炎の予防接種が必要となる場合があります。また、B型肝炎や破傷風などの予防接種も海外渡航時に必要となる場合がありますが、これらの感染症は日本やヨーロッパでもみられるものですので、普段からの接種をお勧めします。

そもそもなぜ予防接種が推奨されているのでしょうか。予防接種には1) 感染症を予防したり、かかった場合に重症化しにくくする個人に対する予防と、2) 個人を予防することで周囲への感染を阻止する、さらには多くの人が接種することで感染症の蔓延を社会的に防止する、という二つの意義があります。また海外渡航時に関して言えば、例えば海外の学校へ就学する場合に予防接種証明書が必要になったり、また黄熱の流行国へ渡航する場合、入国時やそれらの国からの乗り継ぎ時に黄熱の予防接種証明書の提示が求められる場合があります。

予防接種以外にも、マラリアの流行地へ渡航される場合はマラリアの予防薬を服用することが勧められています。

予防接種を受けることで予防できる病気は限られていますが、事前に渡航先の医療情報を収集し、それぞれの予防接種について理解したうえで、どの予防接種を受けるかを決める必要があります。予防接種の種類によっては接種できる医療機関が限られていますので、かかりつけ医に相談すると良いでしょう。また、予防接種の種類によっては一定の期間を開けて2~3回の接種が必要になるものもありますので、予め余裕を持って相談されることをお勧めします。

  • 渡航先の医療情報はどう収集するの?

海外渡航時の医療情報はインターネットで収集できます。日本の外務省のホームページでは海外の医療情報としてそれぞれの国で必要な予防接種やその他の医療情報に関する情報を載せています。また、アメリカ疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention)のホームページでは282の国と地域に関して、滞在形態、期間、子ども連れの滞在かどうかなどを考慮した情報を得ることができます。

事前に必要な医療情報を知ることで、海外での滞在をより安全なものにできると良いですね。

山田佳奈