CCIJF – 在仏日本商工会議所

第十九回:食あたりのお話

食あたりのお話

食あたりの原因や症状は多岐にわたりますが、今回は主に細菌等による胃腸炎を念頭にお話させていただきます。

 食あたりは年間を通じて発生します。よく「ガストロ」と言って在仏日本人でも話題になりますが、これは「Gastro-entérite=胃腸炎」のことで「ガストロ」というフランス特有の変わった病気があるわけではありません。ただし、皆さんがおっしゃる「ガストロ」は狭義には嘔吐を主症状としたノロウイルス感染症を指すようです。これは冬季に多く、食べ物から発症することもありますし、そうでないこともあります。もちろん日本でもしばしば大流行します。

 さて夏は比較的食あたりの多い季節といえます。気温が上がり、食べ物が傷みやすいからでしょう。原因菌として頻度の高いものにカンピロバクターとサルモネラ菌があります。カンピロバクターは加熱不十分な鶏肉(あるいは肉汁の付着した野菜)や未滅菌の牛乳、犬などのペットからもうつる事があります。潜伏期は2日以上と長いため、原因食物の特定は比較的困難です。サルモネラ菌も加熱不十分の鶏肉、たまご、牛肉などから感染します。潜伏期間は半日から3日ほどです。これらの菌に冒されると、下痢のほか、発熱、腹痛などを伴うことがあります。一般にサルモネラ菌の方が症状が強いです。チーズはまれにリステリア菌による症状を起こすこともありますが、食中毒の原因としてはそれほど頻度は高くないようです。

 予防としては1)手と調理器具を常に清潔にする。2)食品の冷凍保存。3)十分な加熱調理。食事時にお酒を飲んでもあまり予防効果はないようですが、レモンをかけたりワサビをつけることは一定の効果があるそうです。

 治療は十分に水分をとることが第一です。お腹が減っていなければ食事を取る必要はありません。ビオフェルミン(PharmacieでLactibianeという似たような薬もあります)を飲んでもいいと思います。腸管の動きを止めるタイプの下痢止めは飲まないほうが無難です。もしすこし食べることができそうなら、お粥やうどんがいいでしょう。

 熱があるとき、腹痛が強いとき、便に血が混ざるとき、脱水がひどいときなどは病院で診察をお受けになることをすすめます。病院では便の培養検査をすることがありますので、できたら受診直前に排便しないほうがいいと思います(決して長時間我慢しないでください)。

今回は以上です。良い夏季休暇をお過ごしください。