サルコジ元大統領、「モンテクリスト伯」と拘置所入り
サルコジ元大統領(70歳)が10月21日、パリ市内のサンテ刑務所に収容された。
大統領経験者が刑事施設に収容されるのは、1958年に始まった第5共和政においてはこれが初めて。
元大統領は政治資金不正問題の裁判で禁固5年の有罪判決を受けていた。
2007年の大統領選挙に向けて、当時のリビアのカダフィ政権から資金を得る目的で側近を政権の有力者と接触させていたと裁判所は認定し、犯罪共謀の罪にて厳しい有罪判決を言い渡した。
裁判所は同時に元大統領の拘置を決定。これが21日付で執行された。
21日朝には、パリ16区内の元大統領の自宅前に数百人の支持者らが集まり、元大統領に声援を送った。
支持者らは、元大統領とその弁護団の主張に同調し、有罪判決を受けた元大統領の拘置を、不当な決定であり、フランスの恥だ、などと口々に攻撃した。
弁護団は収容開始と共に保釈請求を行った。
元大統領は、他の収容者とは一切、接触がないような形で収容される。
また、2人の警護官が常時、元大統領の安全確保に努める。
報道によれば、元大統領は、アレクサンドル・デュマの長編小説「モンテクリスト伯」と、イエス・キリストの評伝(保守系作家ジャンクリスチャン・プティフィス氏著)を携えていったという。
「モンテクリスト伯」はご存じのように脱獄の場面があるが、遺体が入った袋に紛れ込んだところを海に放り込まれるという方法だったから、脱獄の指南書としては不向きであろう。
この作品はそれ以上に、検察官までが結託して主人公を無実の罪で投獄するという筋書きであるから、自身の潔白と司法の横暴を主張してやまない元大統領はきっと仲間意識を持っているのだろう。
とはいえ、イエス様のほうは、自己投影の対象とするには少々大げさ過ぎる気も。
