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仏政府、2022年予算法案を閣議審議

政府は22日に開いた閣議で2022年予算法案を審議した。来年に大統領選挙を迎えるマクロン政権にとって、任期中で最後の予算法案となる。

支出は前年比で7.9%の減少を記録。金額では345億ユーロの減少に相当する。新型コロナウイルス危機に伴う支援措置が一段落し、その分、支出が縮小することになる。ただし、その一方で各省庁に120億ユーロ近くの予算増額を認めており、これとは別建てで200億-300億ユーロ規模の投資プランの準備が進められている。この数週間では支出増加を招く各種措置が相次いで予告されているが、その多くは提出された予算法案には盛り込まれておらず、国会審議の過程で修正案として追加されるか、年末の補正予算法案に追加されることになる。この点については、選挙目当てで予算をばらまいているとする批判の声が野党勢力から上がっている。それに加えて、予算法案を事前審査する公共財政高等評議会(会計検査院下の組織)も、2022年予算法案が不完全であり、必要な情報が示されていないことを理由に、予算法案の信頼性に関する見解を示すのを見送ることを決めた。

省庁別では、教育省が17億ユーロ(うち7億ユーロが教員の報酬引き上げ)の予算増を認められた。内務省も5億ユーロの予算増が認められた。環境省では、断熱リフォーム支援を目的に20億ユーロの予算が計上されるなど、どの省庁も予算上の制約は前年までと比べて緩くなった。軍隊省は今年から17億ユーロの予算増が認められており、同じペースが継続される。

税制上の大きな改正は盛り込まれなかった。既定の法人税減税(標準税率を25%へ引き下げ)と住民税廃止対象の拡大でそれぞれ29億ユーロずつの減税が実施される。政府はマクロン政権下で500億ユーロの減税が実現されることになる(個人と法人で半分ずつ)と強調している。

予算法案策定の前提となった経済成長率予測は、2021年に6%、2022年に4%と設定。財政赤字の対GDP比は、2021年に8.4%(2020年には9.2%)、2022年には4.8%まで下がるとした。公的債務残高の対GDP比は、2021年に116%、2022年に114%へと下がるという。債務膨張との批判をかわす目的で、予算法案には、危機絡みで増加した債務1650億ユーロを別会計に移し、その返済を目的に毎年、税収の一部を同会計に繰り入れる(2022年は19億ユーロ)との措置が盛り込まれた。