CCIJF – 在仏日本商工会議所

マクロン政権、夏休み明けに課題山積

マクロン大統領は24日に夏休み明けの閣議を招集する。今秋には微妙な政局運営を迫られる。

政府はまず、完全雇用の実現という大目標に絡んで、失業保険改革を予定している。収支改善を目的とした構造改革の一つでもあり、就労へのインセンティブを高める工夫が予定されている。特に、「経済情勢に応じて失業手当支給額を調節する」ことを可能にすることが検討対象となっているが、労組はそのような改革には強く反発している。年金改革も2023年夏の施行に向けた準備が進められているが、こうした改革を進めるに当たっては、社会不安を招かずに、大規模な抗議行動の発生を避けつつ事を進めることが重要になる。政府の手腕が問われている。

足元の課題としては、インフレ亢進への対応がやはり最大の案件だろう。マクロン大統領は再選後、過半数を失った国会において、200億ユーロ規模のインフレ対策を採択させることにようやく成功したが、インフレが鎮静化する気配はなく、大部分の措置が2022年末に終了するとあって、その後の対応をどうするかがポイントとなる。必要な措置は2023年予算法案に盛り込まれることになるが、予算法案では同時に、財政健全化の努力も必要になり、困難な選択を迫られる局面になることも考えられる。他方、インフレ亢進の中で、大幅な賃上げを求める声が、労組と左派連合NUPESからも高まっており、これが社会不安を招く材料になる可能性もある。