CCIJF – 在仏日本商工会議所

行政最高裁、温室効果ガス排出削減を巡り政府に改善を命令

行政最高裁(コンセイユデタ)は 10 日、温室効果ガス排出量削減における政府の 努力が不十分とする判断を示した。2023 年末と、2024 年 6 月末日を期日として、 目標に沿った排出量削減ペースの実現に向けて進んでいることの証拠を示すよう、 政府に命じた。
この決定は、北仏グランドサント市が 2019 年に起こした行政訴訟に端を発してい る。海浜に位置する同市は、温室効果ガス削減に向けて政府が適切な対処をして いないと主張し、国を相手取って提訴。この案件で国を相手取った行政訴訟がな されるのはこれが初めてで、複数の環境保護団体も提訴に加わった。行政最高裁 は 2020 年 11 月に原告の主張を認める判決を下し、次いで 2021 年 7 月には、目標 を達成するための努力(2030 年に 1990 年比で 40%削減など)をするよう国に対し て命じる決定を下した。原告側は、国が命令に反してしかるべき対処をしていな いと主張して再度訴え、行政最高裁は今回の判決で、国に対して、期限を定めて 挙証をするよう命令した。原告側は、国が違反状態を放置していることを理由に、 命令が実行されるまで 6 ヵ月ごとに 5000 万ユーロの制裁金を課すよう求めていた が、裁判所はこの請求には従わなかった。 排気ガス規制の目標未達については、行政最高裁はこれまでに政府の非を認めて、 2 回に渡り合計 1000 万ユーロの制裁金を課している。温室効果ガスについては、 基準超過を容易に確認できる排気ガスと異なり、一定期間後の目標の達成に向け た進捗状況を判断するのは難しいが、原告側は、裁判所が期日を示して挙証を国 に対して求めたことを、目標達成に向けて国に強く働きかけるものだとして歓迎 している。