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ボルヌ首相が辞任、後任はアタル教育相か

ボルヌ首相が8日に辞表を提出した。後任の首相はマクロン大統領により9日に発表される見通し。

内閣改造はしばらく前からささやかれていたが、ボルヌ首相の続投の是非については大統領の側でも逡巡があった。ボルヌ首相は7日にマクロン大統領と会談したが、この時は進退の話はなかったという。大統領は8日午後に首相を大統領府に呼び、首相交代の決定を伝えたという。

ボルヌ首相は、2022年5月、マクロン大統領が再選を決めた直後に任命された。フランスでは歴代2人目の女性首相の就任だった。大統領選後の総選挙で、連立与党は過半数を失ったが、ボルヌ首相は留任し、困難になった国会運営に取り組んだ。首相はこのため、内閣の信任をかけて、採決をせずに法案の採択を宣言する強制措置(憲法上の条文の名前をとって、俗に「49-3」と呼ばれる)を多発。合計で23回の発動は、ロカール内閣(1988年から1991年までに28回)に次ぐ歴代2位となった。ボルヌ首相はこのため、野党側から批判の矢面に立たされたが、2023年には、大荒れの国会審議の中で、年金改革、失業制度改正、エネルギー関連の改正、そして移民法案を成立させた。マクロン大統領は、手札を擦り切れるまで使ったところで交換を決めた格好になる。

後任人事は8日時点では発表されず、9日に持ち越された。これまでに数人の名前が取り沙汰されたが、アタル教育相の起用が有力視されている。教育相は34才と若く、広報戦略にも長けていることが評価されているという。