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地方分権推進策:県知事の権限強化が柱に

バイルー首相は7月8日、地方分権の推進に関する見解を公表した。
県知事の権限を強化する方針を示した。
そのために、県知事の権限等に関する2004年の政令(デクレ)を改正すると予告した。
改正案の事前審査が現在、行政最高裁において進められている。
フランスでは知事は公選制ではなく、任命制で、任地の県(又は地域圏)における国の代表者としての役割を担っている。
バイルー首相は、地元の状況を知悉する知事の権限を強化し、地方の声が行政に反映されるようにすることを目的として挙げた。
首相はまた、出先機関や特殊法人等、国の政策を推進する立場にある組織・機関の間の調整役として、当事者間の整合性を保ち、迅速な無駄のない対応を可能にする役割を知事に期待し、利用者が窓口を容易に見出せるようにするため、全体を指揮する役割を知事に負わせる考えを示した。
具体的には、知事は、公共サービスや国家財政、学校や医療機関の分布など、地元への影響がある案件について、必ず諮問の対象となる。
また、出先機関や特殊法人の当該県における代表者の任命についても、事前に知事に諮られることになり、業績評価や報酬決定にも参画する。
さらに、出先機関等が担当する、国の政策運営にかかわるすべての案件について、公益に反すると判断した措置について見直しを求めたり、一部の支出項目を再案分するなどの権利を行使することが認められる。
知事の権限強化については、国による統制を強めるのと同義であり、地方分権には逆行するとの声も聞かれる。
地方行政については、政府は、財政健全化の枠内で、費用便益の徹底を図る方針で、バイルー首相が予告した400億ユーロの節減において貢献が求められるものとみられている。