上院調査委、企業向け国家援助に関する報告書を公表
上院が設置した調査委員会が7月8日、企業対象の国家補助に関する報告書を公表した。
国家補助の把握と評価を徹底し、支援を受けた企業に対する条件を明確化するよう勧告した。
調査委員会は昨年冬に、超党派の呼びかけにより設置された。
タイヤ大手ミシュランや食品小売大手オーシャンが、公的援助を受けていたにもかかわらず人員削減を決めたことを問題視した議員らが、国家補助の現状の問題点を調査する目的で設置を請求した。
報告書はまず、国家補助の総額が政府により把握されていないことを問題視。
調査委は自らデータを集めて、2023年に2110億ユーロとする概算を算定した。この数字には、国の補助金、BPIフランス(公的投資銀行)経由で付与された援助、税額控除等と社会保険料減免措置が合算されている。
報告書は、正確な数字がわからなければ業績評価もできないと指摘し、恒常的に把握する仕組みを整えるよう政府に勧告した。
報告書は、国家補助の条件となる雇用関連等の義務については、明確化されていないことも多く、義務に違反した場合の制裁等の実効に乏しいと指摘。
報告書は、重大な違反行為で有罪判決が確定した企業には援助の返済を求めることや、援助対象の事業を2年以内に外国移転した企業に対しても、援助の返済に関する規定を設けるべきだと勧告した。
これに絡んで、報告書は、政府に対して、ミシュランに付与された援助の返済を求めるよう求めた。
2020年に閉鎖された国内拠点に係り、社会保険料の還付方式による援助(CICE)を受けていたミシュランが、同工場向けに購入した機械設備を、使われることがないまま外国に搬出したことを特に問題視した。
