CCIJF – 在仏日本商工会議所

ボロレ・グループ、当局機関よりビベンディへのTOB実施を命じられる

AMF(仏金融市場監督機関)は7月18日、ボロレ・グループとその所有者であるバンサン・ボロレ氏に対して、ビベンディに対するTOB実施を義務付ける決定を下した。
6ヵ月以内に実行するよう命じた。
ボロレ氏は、保有する上場企業のビベンディ(メディアなど)を分割し、それぞれを上場するという大規模な再編を実施していた。
カナルプリュス(有料テレビ)、ハヴァス(広告)、ルイ・アシェット(出版)の3社を分離・上場し、上場維持のビベンディ本体は、ユニバーサル・ミュージック(レコード会社)の持分などを統括する持株会社的な企業となっていた。
この再編には、少数株主の一部が反発して提訴を行い、去る4月には、パリ高裁が、一連の取引を認めたAMFの決定に誤りがあったとする判決を下していた。
高裁は特に、ボロレ・グループがビベンディに保有する株式が30%未満であることから、グループによるビベンディの支配はないと認めたAMFの判断を誤りであるとし、ボロレによるビベンディの実質的な支配があると認定していた。
AMFはこれを受けて、TOB実施を命じたが、ボロレ側が、高裁判決を不服として最高裁に上告中であることから、最高裁の判断が下る(年内の予定)までの間は、TOBの実施を猶予する旨をあわせて決めた。
TOBを実施するとなると、ボロレ・グループは多額を投じることを迫られる。
AMFの決定が発表された18日には、ビベンディの株価は13.26%の急騰を記録し、時価総額は34億5000万ユーロまで上昇した。
なお、同日には、欧州委員会が、一連の再編の枠内で行われたビベンディによるラガルデール・グループの実質支配の時期が早すぎたことを理由に追及する旨を発表しており、ボロレ・グループはこちらでも負担を迫られることになる。
全体を勘案して、TOBの実施はボロレ・グループにとって36億ユーロ程度の出費になるとの試算もなされているが、同社には50億ユーロ強という潤沢な現預金があり、対処可能な範囲内とみられている。