CCIJF – 在仏日本商工会議所

農業関連法案に反対の市民請願、署名者が100万人を突破

先に国会で可決された農業関連法案(通称デュプロン法案)について、法案に反対する市民請願の署名者が100万人を突破した。異例の事態となり、法案への反対が根強いことをうかがわせた。
この法案は、デュプロン上院議員が議員立法法案の形で提出。
農民側の要求に沿った形で、一連の措置を定めている。
特に、ミツバチの大量死を招くという理由でフランスでは禁止対象となっているネオニコチノイド系農薬のアセタミプリドについて、申請を経て使用許可の特例措置を認めるとの条項が、環境派を中心として強い批判を受けていた。今回の請願は、23歳の女子大生エレオノール・パテリさんが起草したもので、「公衆衛生、生物多様性、気候政策の整合性、食糧安全保障、良識を正面から攻撃する」ものだと法案を批判する内容だった。
請願の署名者が10万人を超えたことから、規定により下院はサイト上にこの請願を公示して署名者募集を継続すると共に、報告者と担当小委員会を指名して、取り扱いの検討(国会報告書作成のための審議の実施か、不採用とするか)を開始していた。
その後、署名者は「30県以上から合計50万人以上」の条件を満たすに至り、下院団長会議が本会議における請願審議を決定することが可能になった。
現在では署名者は100万人を超えていることから、本会議における審議開催は必至となった。審議は夏休み明けに行われる見通し。
請願審議は法案の廃案を可能にする手続きではないが、各政治勢力には世論の監視の中でその立場を明確化することが求められる。
特に、マクロン大統領派の中間勢力の間には、法案に批判的な勢力もあり、結束を見出せるとしたらどのような形になるかが注目される。
その一方で、野党の左派勢力は、法案について憲法評議会に違憲審査を請求しており、市民請願の動きが、憲法評議会の判断に影響を及ぼす可能性も否定できない。