CCIJF – 在仏日本商工会議所

予算法案準備:障がい者・高齢者向け給付の節減も検討対象に

政府は、障がい者及び高齢者向けの自立支援給付の節減を計画している。
IGF(財務監察総局)とIGAS(社会問題監察総局)が共同で策定した報告書を踏まえて、具体的な措置の検討を進めている。
報告書は23項目の改革を提言している。
報告書は、AAH(成人障がい者手当)、AEEH(障がい児童教育手当)、APA(高齢者向けの自立支援手当)、PCH(障がい者補償給付)、ASH(要介護高齢者の施設入居向け手当)の5種について現状の把握を行い、望まれる改革を提言した。
これらの手当は、県に権限があり、その財源の半分以上を県と国が負担している。
2023年の支給額は合計で300億ユーロに上ったが、人口高齢化や支援の対象の拡大などに伴い、近年、顕著な増加傾向を示している。
2017年から2023年まででは、AEEHが年間7.8%増、PCHが同7.6%増などを記録、いちばん増加率が低かったASHでも、年間1.5%の増加を記録している。
財政難に直面する政府が全方位で節減の余地を探る中で、これら給付も検討の対象になるという。
報告書は、県により状況にばらつきがあることを問題視し、支給の条件や期間などの調和化を図るよう提言。
全国レベルで調和化を行えば、ASHで5000万ユーロの節減が達成され、AAHについても、事前面談を徹底して資格の判定を行えば、3億-5億ユーロの節減が可能だと指摘している。
報告書は、検査体制と不正行為への対策も不十分だと指摘。
健康保険公庫と各県の間でデータを照合する体制を整えるよう提言した。
不正受給の検出のための体制も整っていないとして、必要な検査を行えるよう法令を改正する必要があるとも提言した。
このほか、障がい者の施設入居手当について、支給制限において考慮される資産・収入の対象を拡大することで、5000万-1億5000万ユーロ、APAの支給額の所得に応じた逓減制を導入すれば5000万-2億50000万ユーロの節減が実現するとも指摘した。
政府は2026年予算法案において、各種給付額の年次改定の見送り(支給額の現状維持)を計画している。
これによりAAHとAEEHについて得られる節減額は2億7000万ユーロに上るという。