EV普及により自動車保険の収支悪化のリスク、仏保険業界団体が取り組みを提案
フランス・アシュルール(仏保険業連合会)は11月6日、EV普及に伴う自動車保険への影響に関する見解を公表した。修理費が高いEVの普及により、自動車保険の収支に悪影響が出るとして、保険制度の維持に向けた取り組みを提案した。
EVが仏新車販売に占める割合は、2019年には2%に過ぎなかったが、現在では18%に上っている。
2050年には、バッテリー搭載車が保有自動車台数に占める割合が50%を超える見通しとなっている。
その一方で、EVは、従来の車両と比べて、保険事故時の保険金額が平均で11%も高い。物的被害に限定すると、この格差は14%にまで広がる。さらに、ガラス交換では実に28%の差が出るという。
格差が生じる理由としては、まず、バッテリーの交換や修理が困難だという構造的な問題が挙げられる。
また、交換部品を自動車メーカーが直接に抑えており、部品価格を押し下げる競争圧力が働きにくいということがある。
さらに、バッテリー搭載車両は相対的に重量が大きく、事故時の損害も大きくなる傾向がある。
EVの修理ができる技能員の労働コストがより高いという問題もある。
フランス・アシュルールはこれらの問題を踏まえて、適正な保険料での自動車保険の提供を継続するためとして、3項目の取り組みを提案した。まず、バッテリーへのアクセスと修理可能性に関する規格の制定を提案。
これについては、欧州連合(EU)レベルでの協議が現在続けられている。
次に、交換部品に関する競争の確保を要望。
さらに、自動車の修理のしやすさを評価する指標を定める作業を進めると発表した。
「保険者と消費者が共に、保険の費用に及ぼす影響を把握できる」ようにすることが狙いといい、保険会社が保険料設定において根拠とする可能性も考えられる。
