CCIJF – 在仏日本商工会議所

航空便遅延の補償、法令改正を経て請求手続きが困難に

航空便の遅延の場合の補償について、条件が2月7日付で厳しくなった。
航空会社に補償を求める上での訴訟費用が有料になった。
欧州連合(EU)の法令においては、3時間以上の遅延の場合に、航空会社は請求を経て補償金の支払いに応じる義務がある。
欧州内発着の便、欧州発・欧州域外着の便、そして、欧州域外発・欧州着の便(欧州籍の航空会社のみ)が対象で、域内便では1500km以内で250ユーロ、1500-3500kmでは400ユーロ、域外発着の国際便(3500km超)では、3時間以上4時間未満の遅れで300ユーロ、4時間以上の遅れで600ユーロと補償額が定められている。
仏政府は、請求の訴訟が立て込み、裁判所の処理能力が飽和状態に達していることを理由に、手続きに関する規定を改めることを決め、2025年8月5日付の政令を公示。
これがこの2月7日に発効した。
具体的には、請求に係る係争に至る前に、公設の調停人事務所(Mediateur Tourisme et Voyage)への調停請求が義務付けられ、調停が不調に終わった場合に限り、裁判所に訴訟を起こすことが可能になる。
ただし、従来は、費用のかからない訴状提出で済んだが、改正後は、裁判所への召喚の手続きを行わない限りは、訴えは受理されないことになった。
さらに、被害を受けた旅客が各自提訴を行うことが必要になった(同一の家族の場合に限り、まとめて提訴を行うことが可能)。
航空会社は補償請求を抑止する狙いもあり、一般的に裁判所経由でのみ補償に応じているのが実情だという。
その一方で、複雑な請求手続きを代行して手数料を得る業者もあり、遅延の各案件で旅客を束ねて手続きを行っている。
改正後では、召喚状を裁判所執行官に依頼するだけで40ユーロから100ユーロ以上と費用がかかるようになり、複数人を束ねた手続きも行えなくなることから、請求をする旨味は薄れる。
この改正については、消費者の権利行使を侵害するものだと批判する声が上がっており、政令を違法として行政訴訟を起こす動きも出ている。