CCIJF – 在仏日本商工会議所

独仏主導のFCAS(次世代戦闘機システム)計画、断念が決まる

ドイツで開幕するILAベルリン国際航空宇宙ショーの機会に、ドイツのメルツ首相は6月10日、フランスとのFCAS(次世代戦闘機システム)の共同開発を断念すると発表する。
7月17日に開催される独仏合同閣議の機会に計画の今後の扱いについて発表される見通し。
FCAS開発計画は2017年に発表された。
次世代のステルス戦闘機と、戦闘機をサポートするドローン群、クラウドシステムなどを共同開発する計画だった。ただ、特に戦闘機の開発を巡る独仏の関係企業の役割分担を巡り協議が紛糾し、ドイツの産業界は計画の中止を求めて政府に圧力を強めていた。
戦闘機開発では、ラファール戦闘機で実績がある仏ダッソー・アビエーションが計画の全体を指揮し、エアバスのドイツ事業(戦闘機ユーロファイターの製造に加わる)が協力するという構想だった。
これについてドイツ側は、主導権を奪われることへの警戒が強く、ドイツには戦闘機をスタンドアローンで製造する能力が十分にあるとし、十分な事業分担が得られない限りは協力を打ち切るべきだとする声が上がっていた。
メルツ首相もこれに配慮し、フランス側と事を構えるリスクをあえて犯して計画断念を決めた。
メルツ首相は、6月初頭にダッソーのトラピエCEOと会談して打開の可能性を探ったが、この会談は険悪な空気の中で終わったという報道もある。
独仏両国が7月の合同閣議で体面を保つ内容の発表ができるかはまだわからない。
ドイツ側は、クラウドシステムなど戦闘機本体以外の計画を発展させて、これを欧州全体が採用できるものに育てるという構想を打診しているというが、フランス側の反応は鈍いという。
ドイツの政界は断念により状況が明確化し、打つ手の可能性が広がるとして歓迎。
連立に加わる社民党(SPD)のシュミット連邦議会議員(防衛問題担当)は、「ドイツはこれで、英国、イタリア、日本やスウェーデンと協議ができる」と述べて、英伊日による共同開発計画への接近を含めて、様々な協力の可能性を検討することに意欲を示した。