歌手のパトリック・ブリュエル氏、強制性交等で容疑者認定:制限付きで保釈に
ナンテール地裁の予審判事団は6月9日、歌手・俳優のパトリック・ブリュエル氏に対して、強制性交等の容疑で予審開始を通告した。
予審は起訴の是非を決めるために行われる裁判上の手続き。
ブリュエル氏は容疑者認定を受け、制限付きでひとまず釈放された。
ブリュエル氏は2日間に渡り勾留の上で取り調べを受けた上で、予審開始を通告された。検察側は勾留継続を請求したが、裁判所は制限付きで釈放を決めた。
出国の禁止、被害者との接触の禁止、マッサージのサービス利用の禁止に加えて、カウンセリングを受ける義務を設定。保釈金は50万ユーロに定められた。
「マッサージ禁止」は異例の措置だが、これは、マッサージ業の複数の女性が被害届を出していることを踏まえての決定だという。ブリュエル氏は無実を主張している。
予審の対象となった案件は全部で4件。
2008年から2019年までに発生した4件で、それぞれ「強制性交等」、「強制性交等未遂」、「性的ハラスメント」、「性的暴行及び性的ハラスメント」の容疑。
それ以外に、4件の事件で、容疑者に近い扱い(「弁護士同席の上での参考人」)にて、捜査の継続が通告された。こちらは、2010年から2019年までに発生の事件で、強制性交等、強制性交等未遂、性的ハラスメントの疑いで捜査が進められる。
このほかに、1992年から2008年までに発生したと提訴などがあった事件について、時効成立の有無を継続調査することも決まった。
ブリュエル氏は1980年代にブレイクし、一時はアイドル的な人気を誇っていた。
女性たちの提訴の内容を信じるなら、ブリュエル氏は人気で得られる機会を頻繁に利用していたことになる。
予審対象の事件のうち、2010年に発生した「未遂」事件では、被害者である業界の大物裏方の女性が、事件当時に一旦は提訴したが、その後に提訴を取り下げたという経緯がある。
この女性は、人気者に忖度して取り下げた、と説明している。2019年には一連の提訴等があり、当局は一応の捜査をしたが、この時は不起訴処分が決まっていた。
しかし、こうした提訴が呼び水となり、また、「MeToo」などの追い風もあって、上記の被害者が再提訴するなど追及の動きが広がり、当局も再び重い腰を上げた。
予審対象となったものの中には、2019年に被害届を出したマッサージ師の事件も含まれる。
この事件は一連の提訴のきっかけになったものだが、かつての人気者が耐用年数切れで神通力を失い、若い世代には通じなくなったことを象徴しているようにもみえる。
昭和のアイドルが潮目を見誤り、昔ながらの態度を続けていたことが仇になったということか。
