CCIJF – 在仏日本商工会議所

業界こぼれ話

Shiseido Europe  加藤 賢祐

皆さんこんにちは。Shiseido Europeの加藤賢祐と申します。資生堂は1872年に銀座で創業し今年で150周年を迎えました。日本発のグローバルビューティーカンパニーを目指し、これからも挑戦してまいります。
私からは化粧品をもっと身近に、もっと興味を持ってもらえるよう化粧品にまつわる小話をいたします。

さて皆さま、日常どのような化粧品をどれくらいお使いでしょうか?
とある調査では、ヨーロッパに住む性別年齢問わない消費者全体の平均で1日7種類、1週間では13種類の化粧品を使用するという結果がでています。そんなに使ってない、と感じた方には化粧品と認識されていない化粧品があるのではないかと思います。化粧品の定義は法律で決められており、EUでは「人体の外側部分または歯および口腔粘膜と接触して使用されることを意図した物質または混合物で、主に洗浄、香り付け、外観を変える、保護する、良好な状態に保つ、体臭を是正することを目的とするもの」とされています。先の調査例で考えると、朝起きて、歯磨き、髭剃りクリーム、ヘアワックス、デオドラント、お昼前にハンドソープで手洗い、夜お風呂でシャンプー、ボディソープ、洗顔フォーム、これでもう8種類です。化粧品は老若男女誰にとっても非常に身近なものといえます。
これだけ身近で毎日顔や体に直接使う化粧品なので、各化粧品メーカーは製品を安心安全に出来るだけ長く使って頂けるよう品質向上のため日々努力しています。お客さまも安心安全についてはアンテナが高く、私自身も友人などから化粧品の安心安全に関する質問を受けることがあります。その中で、古い化粧品を使っても大丈夫なのか?いつまでに使い切らないといけないのか?と聞かれることがあります。状況次第で変わるので何とも答えがたいのですが、「商品の中味タイプや保管状況によってどの程度の期間使えるかどうかは異なる。使用時に変な臭いがせず、分離していない、変色していない等、購入時と同じ状態の場合は使っても大丈夫。ただ一度開封した化粧品は、パッケージを見て早めに使いきったほうがよい」と回答しています。

品質が保たれる期間を考えるときのひとつの目安は“製造後30カ月”です。EUの法律上、メーカーが製品の品質を保証できる期間が30カ月以上の場合は消費期限を表示する義務はありません。事実ほとんどの製品には消費期限の表示はなく、それら製品は製造から30カ月以上の期間メーカーによって品質が担保されています。パウダー製品など比較的品質を長く保てる製品カテゴリもありますが、この“30カ月”は最短の期間として一つの目安にすることができます。ただし、温度が高かったり紫外線にあたるなど保管環境が悪いと品質は悪くなりやすくなりますのでご注意ください。化粧品は温度変化の少ない冷暗所に保管するのが良いとされています。
また一度開けてしまった化粧品は外界にさらされるため未開封と同じ期間品質を保持することは難しくなります。一度開封した製品の品質が担保できる期間はパッケージに記載があります。EUの法律上品質保証期限が30カ月を超えるものには、決められたシンボル(図参照、図は開封後の品質保証期間18カ月という意味)の中に開封後の品質保持期間を表記すること」という決まりがあるので、その表示を見るのが間違いないです。

いつまで使えるか?というお話をしましたが、製造販売に関わる者としての本音はやはり、購入後は長期間保管することなく、用法容量を守って出来るだけ早く使いきって頂きたいです。同じ製品でも日がたてば少しずつ中味に変化が出てきてしまうので、よりフレッシュな状態でお使いいただいたほうが、製品が持っている本来の価値を感じていただけます。もし、長らく使っていない化粧品を持っている方は一度棚卸をして使う順番を考えるのも良いかもしれません。
注:このお話はあくまでEUでのお話です。国が違えば法律が変わり表示が異なる可能性があります。