CCIJF – 在仏日本商工会議所

第一回:美味しいワインとの付き合い方

美味しいワインを気軽に飲めることは、ヨーロッパ生活の楽しみのひとつです。

適量飲酒は健康にもよいとも言われております。特に赤ワインに豊富に含まれるポリフェノールは、老化を促す活性酸素が悪玉コレステロールと結びついて動脈 硬化を引き起こすことを抑える作用(抗酸化作用といいます)があると言います。しかし、より健康的にお酒を愉しむためにも、適量・飲み方を知っておくこと が大切です。アルコールの体への影響、効果はいまだに医学の世界でもはっきりとした結論はでておらず、論文によっては「全く飲まないほうがよい」、「少量 は飲んだほうがよい」など賛否両論です。現時点で考えられている、良いアルコールとの付き合い方についてお話したいと思います。日本の厚生労働省研究班 は、休肝日(アルコールを摂取せず肝臓を休ませる日)を設けつつ、1日日本酒換算1合以下(女性では男性よりも少なめ)にするのがよいと報告しています。

これは、ワインに換算するとワイングラスで約2杯弱(220ml程度)の量に相当します。また休肝日としては、最低週に2日とるのが望ましいとされていま す。摂取されたアルコールの90%が肝臓で代謝され、ワイングラス2杯が代謝されるのに最低3時間(体重・性別・年齢・酵素の有無など個人差あり)はかか ります。アルコールの過量摂取は時に生活習慣病、肝臓病、神経疾患などの発病につながります。肝臓への影響をもう少し詳しく述べますと、アルコールの過量 摂取(通常日本酒換算で3合/日以上)により、まず脂肪肝へと至ります。脂肪肝になっても通常自覚症状はなく、健診などで偶然発見されることが多いです。 脂肪肝は可逆的なもので、禁酒により元の健康な肝臓を取り戻すことができます。ところが、脂肪肝を過ぎると肝線維症、肝硬変へと発展します。こうなると禁 酒しても元の状態に戻すことは難しくなります。また特に肝硬変に至った場合、おなかに水がたまったり、消化管出血など重篤な合併症につながる事もありま す。

飲酒運転も当たり前ですが避けましょう。フランスの法律では呼気中アルコール濃度が0.25mg/lを超えると罰則の対象になります。これはワイン2杯で超えてしまいます。
(ただし分解速度には個人差があるので注意して下さい。)

私もついつい飲みすぎてしまうときがありますが、「適量」を心がけて、お酒とは楽しく永く付き合いたいものです。