CCIJF – 在仏日本商工会議所

給与の前渡し制度、購買力懸念を背景に利用増える

物価上昇を背景に購買力懸念が広がる中で、給与の前渡し制度を利用する人が増えている。
この制度は「アコント」と呼ばれる。
月末払いの給与を、勤務した分に限り、一部を前渡しにするよう、従業員は請求する権利があり、会社側は、少なくとも当該月における最初の請求である限り、これに応じる義務がある。
毎月、15日以降に、最大で給与の50%までを請求することができる。
既に勤務した分の支払いを求めることができる制度であり、その点、前借りとは異なる。
近年は、企業側が前渡しの管理や請求受け付けに使用できる便利なアプリが出回るようになり、利用をしやすくなった。
そうしたサービス会社の一つであるStairwage(2020年設立)によると、前渡しの利用件数は2025年9月以来で10%の増加を記録。
金額でみると15%の増加を記録した。
同社は、400社(合計従業員数20万人)を顧客としているが、同社アプリを利用する従業員のうち、1ヵ月に12%が申請を行っている。
平均申請額は給与の18%分だという。
同業のRosaly(450社・従業員20万人)も、1年間で申請が30%増えていると証言している。
給与明細発行のソフトウェアを提供するPayfitによると、18-34歳の層で利用が多い(従業員全体だと20%が利用しているが、この年齢層に限ると34%が利用)。
部門別では、宿泊・外食、商業、建設が多いという。
この11月からは、銀行の当座貸越に関する規則が厳しくなり、口座の新規開設者から、当座貸越は与信並みの事前審査が銀行に義務付けられることになっている。
資金繰りが厳しい世帯が給与の前渡し制度の利用を増やす可能性がある。
これを踏まえて、最近に提出された議員立法法案は、▽1ヵ月に5回までの前渡し請求に応じることを企業側に義務付ける、▽公務員にも同制度の適用を認める、などの改正が盛り込まれている。