欧州中銀、金利据え置きを決める:ラガルド総裁は退任を予告
欧州中銀(ECB)は10月29日に開いた定例理事会で政策金利の据え置きを決めた。
それに先立ち、欧州中銀のラガルド総裁は、任期満了を待たずに2月7日付で退任すると発表した。
金利据え置きは事前の予想通りだった。ユーロ圏のインフレ率は9月に3.8%まで上昇、前月の3.2%から大きく上昇したが、欧州中銀は、エネルギー価格の上昇が賃金上昇を招く2巡目のインフレには至っていないと判断。
コアインフレ率が総じて安定的に推移していることも踏まえて、金利据え置きを正当化した。
ラガルド総裁は、「金利を引き上げないことを決めた」とも説明。
欧州中銀は直近2回の理事会で続けて利上げを決定しており、総裁も再利上げをにらんだ地固めをしていたが、このところの長期金利の上昇をにらみつつ、ひとまず利上げを見送ったというニュアンスを示した。
ユーロ圏加盟国の国債の流通利回りは上昇傾向にあり、信用力が高いドイツでも、10年物金利が3.34%まで上昇している。
特に警戒されているのがフランスで、前週には5%超えを記録、現在は4.9%を下回る水準まで下がっている。
ラガルド総裁は、長期金利の上昇により融資条件が事実上厳しくなり、利上げの必要が薄らいだという側面があることを認めつつ、市場の動きが正当化されず、無秩序であると判断される場合には、欧州中銀には対処する手段があるとも言明。
なお、2022年に導入されたTPIと呼ばれる措置は、これまでに発動されたことはないが、一定の条件下で欧州中銀に国債買い入れを認める内容となっている。
ラガルド総裁はフランス人で、任期満了の9ヵ月前となる2027年2月7日付での退任を予告した。
フランスでは、同年4月に大統領選挙が行われることになっており、ラガルド総裁は、金融政策には属さない案件について関わる自由を取り戻して、自分にとって大切な原理原則を守るために必要な発言と行動をしたいと考えている、と言明。
大統領選挙になんらかの形で関与する考えを示唆した。
ただし、総裁はこれまで、大統領選挙に出馬する可能性については否定してきた。
中銀総裁の早期退任は前例がない。今後、後任選びの動きが本格化することになる。
フランス人の連続就任はありえないが、マクロン仏大統領は自らの任期満了前に、総裁後任選びに影響力を行使することが可能になる。
